新版Kizurizm

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雲村俊慥『大奥の美女は踊る』

● 大奥の実態に迫った一冊。大奥なんて誰が描いても最高の素材なんだから、ある程度おもしろくなるのは当然なのに、この筆者はその素材をぶちこわしにしていてイライラ。筆者は一応作家らしいけど、それが裏目に出たんですかね。作家の書いた新書歴史ものといえば、サトケンのダルタニャンものなんか、小説の外連味がそぎ落とされているのに滅法おもしろかった。なのにこれはねえ……。いきなり小説風に「このときお琴はこう思っただろう」みたいな文章が入るけど、そのチラチラした数行であそこまで気色悪く、つまらなくするのはもうある種の才能を感じますね。

 ともかくなにもかも中途半端。 ドラマ『大奥』や『篤姫』で興味持った人向けになら、ど派手な表紙のPHP文庫にしてください。新書にしては杜撰、ビギナー向けにしては装丁が堅い半端な印象。
 データのミス、もう手垢がついていて、しろうとでもおかしいと思う巷説入れるあたり一体何なのか。徳川吉宗が180センチを越える大男とかもうね……徳川歴代将軍は背丈がはっきり判明してるのに何? 淀殿の解釈なんかもひどい。ほんとうに二十一世紀に書かれた本なのこれ?
 
● いっそ大奥ものは女性が書いてくれんかとも痛感。杉浦日向子さんはほんとうに偉大だったよそのあたり。
 ともかくまず女は嫉妬深くて大奥はドロドロで……という思い込みがあるのはまあいいけど、それをオッサンの興味本位フィルターを通すから、はあもうやだやだやだやだーッ! 酩酊おやじのセクハラにつきあっているような生理的不快感がぬぐえません。氏家幹人氏あたりはそんなことないのに。

 テーマはおもしろいのに、感想は「オッサンキモイ」しか残らないというのはもうなんといえばいいのか……。

大奥の美女は踊る 徳川十五代のお家事情 (PHP新書)大奥の美女は踊る 徳川十五代のお家事情 (PHP新書)
(2006/12/16)
雲村 俊慥

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