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2008.06/19 [Thu]
ローリー・リン ドラモンド 『あなたに不利な証拠として』
● 私の尊敬するエルモア・レナードが絶賛、さらに深町先生のブログでもふれられていたので読みました。これはなんといえばいいのか。
異なる五人の女性警官が主役となる短編を収録。元警察官だった筆者の経験を生かしてあるため、死臭や死体の描写が真に迫り、吐き気すらこみあげるほどの感覚が襲ってきます。この女性警官たちは皆末端の兵士であり、きざっちい言い方をすればNobody。だからケイ・スカーペッタヤヴィク・ウォーショースキーのような個性も超人的能力も与えられていません。殉職してようやく名前が知られるような、しかし警官であるがためにただの女性ではいられない警官たちです。死臭のこびりついた体に丹念に香水をふりかけハーブのボディクリームを塗りたくり、その臭いと訣別しようとしたり。そういう細かくて地味なディテールな積み重ねが彼女の持ち味であり、他の作家なら書かないところでしょう。FBIや検屍局出身の作家はいますが、彼らはなまじ"派手"だから、最新の捜査技術を描いたり、虚実入り乱れた作戦をとりあげたりして、そんな地味なことは書かないわけでしょう。
この作品をレナードが絶賛したのも納得。レナードはかつて警察署に入り浸って会話に聞き耳をたてていたそうですが、そんな彼ならばこのディテールに興味を持ったのは当然でしょう。
● 地味なようである意味これ以上はないほど殺伐としているのは、彼女らの救いがなかなか見えてこないから。彼女たちは孤独。理解ある夫のようでも妻が誰かを射殺した気持ちはわからないだろうと思っているし、ボーイフレンドなんて刹那的なものと割り切っていたりするし、恋愛に救われるとかセックスで綺麗になるとか、そういう陳腐でスイーツな志向とは百万年くらい隔たっているのが、格好いいけど悽愴。母親なら子供を見たら微笑むかというと、子供は放っておいて黙々と拳銃の手入れをする母親とか読んでいて心の底からくるものがあります。女なんてスイーツとか寝ぼけたことを言う奴には、無言でコイツを読めと言いたい。恋をしなくちゃ生きていけないなんて寝言にもコイツを叩きつけたい。戦うというのは、こういうことか。女の体に戦士の魂が入るとどうなるか、という問いへのひとつの答えです。
異なる五人の女性警官が主役となる短編を収録。元警察官だった筆者の経験を生かしてあるため、死臭や死体の描写が真に迫り、吐き気すらこみあげるほどの感覚が襲ってきます。この女性警官たちは皆末端の兵士であり、きざっちい言い方をすればNobody。だからケイ・スカーペッタヤヴィク・ウォーショースキーのような個性も超人的能力も与えられていません。殉職してようやく名前が知られるような、しかし警官であるがためにただの女性ではいられない警官たちです。死臭のこびりついた体に丹念に香水をふりかけハーブのボディクリームを塗りたくり、その臭いと訣別しようとしたり。そういう細かくて地味なディテールな積み重ねが彼女の持ち味であり、他の作家なら書かないところでしょう。FBIや検屍局出身の作家はいますが、彼らはなまじ"派手"だから、最新の捜査技術を描いたり、虚実入り乱れた作戦をとりあげたりして、そんな地味なことは書かないわけでしょう。
この作品をレナードが絶賛したのも納得。レナードはかつて警察署に入り浸って会話に聞き耳をたてていたそうですが、そんな彼ならばこのディテールに興味を持ったのは当然でしょう。
● 地味なようである意味これ以上はないほど殺伐としているのは、彼女らの救いがなかなか見えてこないから。彼女たちは孤独。理解ある夫のようでも妻が誰かを射殺した気持ちはわからないだろうと思っているし、ボーイフレンドなんて刹那的なものと割り切っていたりするし、恋愛に救われるとかセックスで綺麗になるとか、そういう陳腐でスイーツな志向とは百万年くらい隔たっているのが、格好いいけど悽愴。母親なら子供を見たら微笑むかというと、子供は放っておいて黙々と拳銃の手入れをする母親とか読んでいて心の底からくるものがあります。女なんてスイーツとか寝ぼけたことを言う奴には、無言でコイツを読めと言いたい。恋をしなくちゃ生きていけないなんて寝言にもコイツを叩きつけたい。戦うというのは、こういうことか。女の体に戦士の魂が入るとどうなるか、という問いへのひとつの答えです。
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