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映画『ミスト』
● これはひどい(褒め言葉)。よくもこんなえげつない映画を作れたもんです。これはもう、見ないとわからないすさまじさ。「驚愕のラスト十五分!」というのがマジだったというだけでも見る価値があります。
このラスト、いきなりラストについて書くのもアレなんだけど、展開的にはちょっと予想できます。しかし人道的にというか良心として「ここまで酷いことはいくらなんでも」というタガを外しているところが凄いんだな。もう見て下さいとしかいいようがありません。あまりに酷さに嫉妬しました。深町秋生先生も絶賛していますが、それも当然。彼のように残虐さを深く求めるすべてのクリエイターが嫉妬して歯ぎしりしたくなる出来だと思います。目指すべき"結末"の金字塔として伝説になりうる映画です。原作もこうしておけばよかったとスティーブン・キングが嫉妬したのもさもありなん。
本作の隠れた功労者は、制作者の意図通りのエンディングを許した配給会社であるとも思います。一昔前の映画って、試写会の段階であまりに救いがないエンディングだと配給側が差し替えたりしましたよね。それをしなかったのはエライ。おかげでこんな傑作が世に出ました!(DVD版だとアナザーエンディングが収録されそうだと思うのは私だけ?)
● 本作はキングの初期中編『霧』が原作。キング初期らしいえげつない設定のもと話は進みます。大嵐の翌日、スーパーに買い物にいった父子は周囲が霧に囲まれていることに気付きます。と、血だらけの老人が走ってきて叫びます。
「霧の中に何かがいる! そいつがジョン・リーを掠っていった!」
こうしてアメリカンホラーの王道、超常現象に対してスーパーに立て籠もる一般市民が展開されるわけです。ここは一致団結して困難に挑まねばならないのに、味方分裂していくのがミソ。都会から来ている洗練されたよそ者と、つなぎにブッシュ大統領みたいな顔、そして缶ビールを片手に持つという典型的なレッドネック=田舎者という対立。さらに聖書を手にした宗教狂いのオバハンがアジりまくり、「これは最後の審判なのよ!」と叫びまくる。最初は冷淡だった人々も、あまりのパニックにこれは神の裁きだと信じ始めることに。
このへんの構造、アメリカをうまく風刺しているんですよね。主人公たち洗練された都会人は民主党を支持し、週末は日本食を食べているようなタイプ(青い人々)。田舎者といわれて怒るオッサンたちは、「よくわがんねげっちょ、ブッシュは中絶をいげねっていっでっがら票入れっぺ」という赤い人々、食べるのはジャンクフードばっかりでカントリーを聞いている。
そして何より宗教狂いのオバハンの台詞が最高。「中絶も月面着陸も神への冒涜よぉ!」というアジは真骨頂ですね。この映画の制作者は本気で政府に喧嘩売っていますね。最高だ。
● そうは言ってもホラーですから、怖くなければ意味がない。細かい描写ひとつひとつが「こうなったら、生理的にいやだな」という予想の斜め上を突っ走るのが心地よいことこの上ありません。しかもカメラが逃げずにえげつないシーンを長々と映す(このへん、テキトーに誤魔化しやがった『クローバーフィールド』とは違うのだよ)。肉が骨から引き剥がされ、人は丸焼けになり、包丁が腹にめり込む……そういうショットを丁寧に職人芸ともいえる緻密さで撮影しています。
死人の人選も的確です。コイツを殺すなよと言いたくなるような人を出血大サービスで殺していく。このあたりテンポが実にいい。一方で意外な人間が意外な方法で怪物と立ち向かうところにはカタルシスもあるんですよね。
では、最後のネタバレに。
山口貴由先生が「本当の残酷さは報われないこと」と語っていたのですが、まさしく本作はコレを地でいくもの。いやあ、この残酷っぷりは酔うわ。
このラスト、いきなりラストについて書くのもアレなんだけど、展開的にはちょっと予想できます。しかし人道的にというか良心として「ここまで酷いことはいくらなんでも」というタガを外しているところが凄いんだな。もう見て下さいとしかいいようがありません。あまりに酷さに嫉妬しました。深町秋生先生も絶賛していますが、それも当然。彼のように残虐さを深く求めるすべてのクリエイターが嫉妬して歯ぎしりしたくなる出来だと思います。目指すべき"結末"の金字塔として伝説になりうる映画です。原作もこうしておけばよかったとスティーブン・キングが嫉妬したのもさもありなん。
本作の隠れた功労者は、制作者の意図通りのエンディングを許した配給会社であるとも思います。一昔前の映画って、試写会の段階であまりに救いがないエンディングだと配給側が差し替えたりしましたよね。それをしなかったのはエライ。おかげでこんな傑作が世に出ました!(DVD版だとアナザーエンディングが収録されそうだと思うのは私だけ?)
● 本作はキングの初期中編『霧』が原作。キング初期らしいえげつない設定のもと話は進みます。大嵐の翌日、スーパーに買い物にいった父子は周囲が霧に囲まれていることに気付きます。と、血だらけの老人が走ってきて叫びます。
「霧の中に何かがいる! そいつがジョン・リーを掠っていった!」
こうしてアメリカンホラーの王道、超常現象に対してスーパーに立て籠もる一般市民が展開されるわけです。ここは一致団結して困難に挑まねばならないのに、味方分裂していくのがミソ。都会から来ている洗練されたよそ者と、つなぎにブッシュ大統領みたいな顔、そして缶ビールを片手に持つという典型的なレッドネック=田舎者という対立。さらに聖書を手にした宗教狂いのオバハンがアジりまくり、「これは最後の審判なのよ!」と叫びまくる。最初は冷淡だった人々も、あまりのパニックにこれは神の裁きだと信じ始めることに。
このへんの構造、アメリカをうまく風刺しているんですよね。主人公たち洗練された都会人は民主党を支持し、週末は日本食を食べているようなタイプ(青い人々)。田舎者といわれて怒るオッサンたちは、「よくわがんねげっちょ、ブッシュは中絶をいげねっていっでっがら票入れっぺ」という赤い人々、食べるのはジャンクフードばっかりでカントリーを聞いている。
そして何より宗教狂いのオバハンの台詞が最高。「中絶も月面着陸も神への冒涜よぉ!」というアジは真骨頂ですね。この映画の制作者は本気で政府に喧嘩売っていますね。最高だ。
● そうは言ってもホラーですから、怖くなければ意味がない。細かい描写ひとつひとつが「こうなったら、生理的にいやだな」という予想の斜め上を突っ走るのが心地よいことこの上ありません。しかもカメラが逃げずにえげつないシーンを長々と映す(このへん、テキトーに誤魔化しやがった『クローバーフィールド』とは違うのだよ)。肉が骨から引き剥がされ、人は丸焼けになり、包丁が腹にめり込む……そういうショットを丁寧に職人芸ともいえる緻密さで撮影しています。
死人の人選も的確です。コイツを殺すなよと言いたくなるような人を出血大サービスで殺していく。このあたりテンポが実にいい。一方で意外な人間が意外な方法で怪物と立ち向かうところにはカタルシスもあるんですよね。
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では、最後のネタバレに。
山口貴由先生が「本当の残酷さは報われないこと」と語っていたのですが、まさしく本作はコレを地でいくもの。いやあ、この残酷っぷりは酔うわ。
- 17時28分
- [映画・演劇・TV感想]
- TB(0) |
- CO(4)
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新たな境地をヤッチマッタよ! チクショウ! っていうこのカタルシスだけでも1800円払えるでしょう?!
ね、本当に制作者が狂っているって凄いですよね!
しかもこの前までは感動路線撮っていやがったのによぉ、と地団駄。そしてこれから見る人を前にニヤニヤしちゃいます。