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J・アーチャー『ゴッホは欺く』
● 「塞翁が馬」そのままの人生を送るロード(一代貴族)、アーチャーの新作です。彼の場合、サクセスストーリーを描くサーガものと、謀略が絡むミステリものとありますが、今回は後者。911テロを背景に、ゴッホの自画像をめぐるお話です。正直、最近の作家が書くサーガものの出来がいまひとつなので、期待半分でしたが面白く読めました。
● 今回印象的だったのが、絵画コレクターのタカシ・ナカムラ氏。日本人のゴッホコレクターということで、バブル成金めいた人物だったら嫌だなあと思っていたのですが、英国人が見た理想的な日本人像で面はゆいほど。日本の伝統に造型がふかく、謙虚で、ユーモアもあり、芸術を本当に愛しているという、欠点のない人物なのです。彼の台詞で人間国宝の説明がありますが、この手のこともちゃんと取材してあるのでしょう。おかしくありません。主人公が東京に訪問するシーンも、翻訳者によれば若干ミスはあるそうですが、違和感なし。この東京のシーン。銀座の刃物店では、殺し屋が情熱的な目線で日本刀を見詰めていたのが印象的です。ここまで正確で好意的、かつ好奇心をもって描かれた日本を読んだのは、ディック・フランシス以来のような気がします。
● とまあ、日本描写を中心に感想を書きましたが、彼のミステリー作品の水準としては並くらいかな。でもとりあえず、獄中記でない彼の作品が久々に読めたのは嬉しいことです。短編集も楽しみ。
追記。某レビューで某有名絵画ミステリと比較してくさしている人がいますが、この作品とあの作品は並べて語ること自体ナンセンスだと思います。
● 今回印象的だったのが、絵画コレクターのタカシ・ナカムラ氏。日本人のゴッホコレクターということで、バブル成金めいた人物だったら嫌だなあと思っていたのですが、英国人が見た理想的な日本人像で面はゆいほど。日本の伝統に造型がふかく、謙虚で、ユーモアもあり、芸術を本当に愛しているという、欠点のない人物なのです。彼の台詞で人間国宝の説明がありますが、この手のこともちゃんと取材してあるのでしょう。おかしくありません。主人公が東京に訪問するシーンも、翻訳者によれば若干ミスはあるそうですが、違和感なし。この東京のシーン。銀座の刃物店では、殺し屋が情熱的な目線で日本刀を見詰めていたのが印象的です。ここまで正確で好意的、かつ好奇心をもって描かれた日本を読んだのは、ディック・フランシス以来のような気がします。
● とまあ、日本描写を中心に感想を書きましたが、彼のミステリー作品の水準としては並くらいかな。でもとりあえず、獄中記でない彼の作品が久々に読めたのは嬉しいことです。短編集も楽しみ。
追記。某レビューで某有名絵画ミステリと比較してくさしている人がいますが、この作品とあの作品は並べて語ること自体ナンセンスだと思います。
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