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新版Kizurizm: J・ブラッドレー『父親たちの星条旗』

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J・ブラッドレー『父親たちの星条旗』

● 映画の原作本のさらに、これはヤングアダルト版の翻訳です。これが結構ややこしく『硫黄島の星条旗』と『父親たちの星条旗』二冊あるんですよ(正直に書けば、間違ってヤングアダルト版を借りてしまいました)。

 あの星条旗を掲揚した若者の背景などわかりやすく描かれていますが、一番おもしろいのが「アメリカの若者向けに解説された当時の日本軍や武士道精神」の記述かもしれません。
 今でこそ『ラストサムライ』なんて映画も公開されてハリウッドでも認められ(たかのように、少なくとも見える)、コンビニにすら「武士道がわかる」なんて本が置いてあって日本の古きよき伝統扱いされているわけですが、終戦直後は武士道は悪の象徴扱いだったわけですよね(日本人も反省や自嘲や憤りを感じていて、そういうのが山風や『駿河城御前試合』あたりの南条範夫の小説にも反映されているらしい)。
 そういう悪印象を描いた原点のとらえ方がなかなか興味深いところであると。引用が面倒という怠惰な理由で、それを省きますが、兵士の命は「一千五厘」、一家から戦死者が出れば名誉として神社に祀られる、司令官は兵士に死を崇拝することを教え込んだなどなど。

 こういうことを書くと、アメリカ人の目から見た曲解された日本人像だと血圧を上げる人が出てくると思うわけですが、ものごとには主観的な見え方と客観的な見え方があるわけで、冷静に向こう側からの眺めを知るのも悪くないことなんじゃないかと思いますが。

 そう考えると、やはりイーストウッドの二カ国両方から描いた「硫黄島二部作」はバランスがとれていると改めて思ったり。某都知事は自作を誉めるあまり、「『硫黄島からの手紙』は米軍の動きがワカラン」とくさしたそうですが、オッサン、あれは二部作だよと誰か指摘してやれよ……聞いていて恥ずかしくなるんだからもー。

父親たちの星条旗 父親たちの星条旗
ジェームズ・ブラッドレー (2006/09/27)
イースト・プレス
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