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荒山徹『魔風海峡』
● この人は一体日韓史をどういう方向に持っていくつもりなのでしょうか。まっさらな状態から彼の作品で韓国を学ぶと、タランティーノの日本および中国史感みたいなものが構築されると思います。
● ともかく忍法が強烈とか、大仏とかゾンビとかいい加減にしろと戦慄しつつ思うことは様々でありますが……確かに山風ティストや隆ティストなんだけども、オマージュやリスペクトを感じるんだけども、なんかもう羞じらいがないんですよ。
山風は自虐的に「オレはバカなことを書く、何の役にも立たないことを書くのだ!」と宣言しているし、まったくオレってばこんなこと書いちゃうんだからもうみたいな照れがあるわけです。
しかし、この作者にはそういう羞じらいがありません。むしろオレが日韓史のイメージを刷新してやる的ワイルドアンビションすら感じます。その濃い野望が作品そのものの強烈な臭みと旨味になっています。山風と隆慶エキスを受け継いだだけでなく、さらにそれを強烈に発酵させてしまった結果ものすGく臭旨い珍味になったと言おうか。
私が彼の作品を読んで連想したのはタランティーノです。あの『キルビル』における「おもしろいものだったら辻褄なんかどうでもいいからブチ込むぜ!」というごった煮感覚と、「見たこともない映画を作ってやるぜ!」というあの感じ。この感覚が分からない人間にとっては、ひたすらバカでB級でふざけるなで済まされますが、わかっちゃった人間は頷きながらはまりのたうち回るしかない嫌な愉しさです。
もうひとつ、この本で思い出したのが韓国の珍味ホンオ・フェ。
エイの刺身を発酵させた食品で、アンモニアが含まれています。その味は「口に入れて噛んだとたん、アンモニア臭は鼻の奥を秒速で通り抜け、脳天に達す。この時、深呼吸をすれば100人中98人は気絶寸前、二人は死亡寸前となる」と言われています。以前本でこの記述を読んだとき、なぜそんなものを食べるのかと唖然としましたが、好きな人にはもうたまらない珍味だそうで、アンモニア臭に泣きながら食べるそうです。
まさしく荒山作品にはそんな危険なサムシングがあります。私はこれからも荒山作品を読み続ける宿命にあるようです。
しかし続けて読むと異様に疲れるので箸休めに陳舜臣を読んでいます。なんだかまっとうな世界に戻ってきた気がします。
最後に吉田戦車が『Wizardry6』パソコン版の嫌な顔グラフィックを表現した言葉を引用しておきます。
「まっとうな生き方を拒否したもの特有の、いやな明るさがある」
この本のイメージはまさにそんなところ。伝奇好きなあなたにはオススメできます。いや、むしろ自分がなぜ今まで読まなかったのか悔しいところか。
● ともかく忍法が強烈とか、大仏とかゾンビとかいい加減にしろと戦慄しつつ思うことは様々でありますが……確かに山風ティストや隆ティストなんだけども、オマージュやリスペクトを感じるんだけども、なんかもう羞じらいがないんですよ。
山風は自虐的に「オレはバカなことを書く、何の役にも立たないことを書くのだ!」と宣言しているし、まったくオレってばこんなこと書いちゃうんだからもうみたいな照れがあるわけです。
しかし、この作者にはそういう羞じらいがありません。むしろオレが日韓史のイメージを刷新してやる的ワイルドアンビションすら感じます。その濃い野望が作品そのものの強烈な臭みと旨味になっています。山風と隆慶エキスを受け継いだだけでなく、さらにそれを強烈に発酵させてしまった結果ものすGく臭旨い珍味になったと言おうか。
私が彼の作品を読んで連想したのはタランティーノです。あの『キルビル』における「おもしろいものだったら辻褄なんかどうでもいいからブチ込むぜ!」というごった煮感覚と、「見たこともない映画を作ってやるぜ!」というあの感じ。この感覚が分からない人間にとっては、ひたすらバカでB級でふざけるなで済まされますが、わかっちゃった人間は頷きながらはまりのたうち回るしかない嫌な愉しさです。
もうひとつ、この本で思い出したのが韓国の珍味ホンオ・フェ。
エイの刺身を発酵させた食品で、アンモニアが含まれています。その味は「口に入れて噛んだとたん、アンモニア臭は鼻の奥を秒速で通り抜け、脳天に達す。この時、深呼吸をすれば100人中98人は気絶寸前、二人は死亡寸前となる」と言われています。以前本でこの記述を読んだとき、なぜそんなものを食べるのかと唖然としましたが、好きな人にはもうたまらない珍味だそうで、アンモニア臭に泣きながら食べるそうです。
まさしく荒山作品にはそんな危険なサムシングがあります。私はこれからも荒山作品を読み続ける宿命にあるようです。
しかし続けて読むと異様に疲れるので箸休めに陳舜臣を読んでいます。なんだかまっとうな世界に戻ってきた気がします。
最後に吉田戦車が『Wizardry6』パソコン版の嫌な顔グラフィックを表現した言葉を引用しておきます。
「まっとうな生き方を拒否したもの特有の、いやな明るさがある」
この本のイメージはまさにそんなところ。伝奇好きなあなたにはオススメできます。いや、むしろ自分がなぜ今まで読まなかったのか悔しいところか。
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