新版Kizurizm

Entries

Powered By FC2ブログ

Powered By FC2ブログ
ブログやるならFC2ブログ

ブログ内検索

Amazon

筆者近況

吉梨(きつり)

Author:吉梨(きつり)
来年は戦国ブームにかわってナポレオン元帥ブームがおきる。とりあえずネイとランヌの伝記が翻訳され(表紙ははせがー先生で)、サトケン先生が元帥短編集を出す……が実現するといいなー。

最上日記384「決死隊」

あらすじ: 最上勢は決死隊に上杉攻めを命じる。

テキスポ「捨て駒(一)」
FC2 7の85

 ほんっとに心の底から怒っている。
 もういいや、あの『天地人』を考証に使っている小説の作者にも、☆ひとつつけたうえに罵倒コメントを二連続でつけた奴にも……他にも言いたいことはあるがもういいよ。書く気力も一日ずっと考えていた構想も蒸発しかけたけど、意地になってでも更新してやった。もう弱音はどうでもいい。完結させたる!


 なあ、本気で怒っていいだろ、これは……!!!
 作品に宣伝荒しまがいのコメントつけられ、とばっちりで☆一つだの罵倒だのされ、私は完全に被害者じゃないの!? あーっ、ハラタツ!!!!!!

 コメントも☆もどうでもいいんだ、私は私の満足するもんを書くぞ。匿名コメントで秀秋パートへのお褒めの言葉もいただけたしね。今後も秀秋、がんばるよ。

やれやれ、あなたともあろうかたが随分と育ちの悪い……

texpo

 こんなことになった。いろいろ度し難いが今はただ堪える。

P・グレゴリ『愛憎の王冠』(下)

● 結婚で人は幸せになると思いますか、という質問でわかるのはそのひとの結婚観ではなく、両親の幸福度かもしれませんね……歴史的にいろいろ言われているエリザベス女王がなぜ未婚を通したかは、本書を読むとなんとなくわかります。彼女は不幸な結婚を見過ぎてきて、結婚したら負けだと思っていたのではないか。母が王妃の座から追いやったキャサリン、断頭台に消えた母アン・ブーリン、そしてヘンリー八世の王妃たち。キャサリン・パーの夫は若い自分に夢中になって妻を裏切った。メアリ・スチュアートも不幸な結婚で破滅。姉であり宿敵であるメアリもあのざま! 結婚なんて墓場に片脚突っ込むようなものじゃないのと彼女が考えても不思議はないでしょう。そう割り切れって恋愛遊戯と政務に精を出す彼女は男前だなあと思います。で、姉のメアリはとことん女。骨の髄まで女。

● ともかくメアリ女王が悲惨過ぎて憂鬱になる下巻。肖像画をみて一目惚れしたフェリペ王を一途に思い、想像妊娠を二度もして苦しみぬき、嘲笑される姿は歴史的結末を知っていてもなんでこんなに非道いのかとしみじみと悲しくなります。それでもって、重たい女なんですね、メアリは。六条御息所とか、そういう情念の女なんですよ。暗い手紙で夫がなぜ来ないのか責め立てたり、何かあるとヒステリックにぶちきれておちこんだり。こういうタイプは男を愛すればするほど嫌われるんだよなあ。ストーカー気質というかねえ。せめて結婚があと五年早ければ……トホホ。
 この重たい愛が叶わぬ怒りを向ける矛先が、なんと異端狩り。これこそ彼女がブラッディな所以です。やられるほうはたまったもんじゃないけどねえ。時代がずれるけど、マリー・アントワネットの娘で白色テロの鬼になったマリー・テレーズにも似ているところがあるなあ。
 この狂乱の愛の根源をたどっていくと、不幸な家庭にたどりつきます。母ともども父に捨てられた悲しみがスペインとカトリックへの郷愁につながり、不幸の連鎖をうんでいく。つくづくヘンリー八世マジ外道。連鎖からとっとと身をひいたエリザベスは賢いなあ。
 メアリの「ブーリンの娼婦は首をはねたのに生きている! その娘が同じ毒をもって鎌首もたげているのよ!」という言葉が胸にささります。うぐぅ。

● 本作の狂言回しハンナの役割もやっとわかってきます。
 スペイン出身の異端者として、メアリのもたらす禍を読者に伝える役目。
 予言者としての役割は、それ自体ではなく「処女を喪失しても能力があるのかどうか?」という意味がある。結婚して特殊能力を失うか、それとも平凡な女になるかという選択を象徴。
 ふたりの女王と対比させて、女の幸福を問う役目。女王が得られない妻としての幸福を示す。

 上巻ではさして意味がないと思われた超能力(歴史ものだから読者は結末を知っていますしね)。それにはこういう意味があったのかと納得。作者の構成力に脱帽です。

愛憎の王冠〈下〉―ブーリン家の姉妹〈2〉 (集英社文庫)愛憎の王冠〈下〉―ブーリン家の姉妹〈2〉 (集英社文庫)
(2009/09)
フィリッパ グレゴリー

商品詳細を見る

最上日記383「最上の小町えんじぇる」

 はくす。いろいろあるけどがんばるー。運営側のリアクションに期待したいんですけどね。

あらすじ:菅原山で慶次郎独演会?

テキスポ「最上小町と上杉少将(二)」
FC2 7-84


 ネタとしていいのか、これ……まあこの不倫ネタは隆慶せんせも扱っているし……まあいいや。本作の前田夫妻さんざんな扱いだな……。ちなみにオケケは戦国時代はあたりまえのお守り。東洋には恋人の下着やオケケ、それに春画を薬やお守りにする文化があるのよね。今でもギャンブラーなんかは持つとかうんぬん。おおらかでいいじゃないか、別に変態というわけではない。
 某大河でも髪の毛をお守りに渡すシーンがあったというが、考証のこだわりを見せるならそこは下の毛のがベターだ。よかったなみんな日本人で、おまえらみんな変態の子孫だぞ!

 上の連中がこちゃこちゃやるだけでも合戦は書けるんだけども、下々の叫びとか動向とかもおもしろいんだ。実際戦場では脱穀もすれば、博奕も密造酒もありでなかなかゴチャっとしていてね〜。

P・グレゴリ『愛憎の王冠』(上)

>はくす

ナポ時代は目にも派手で素敵です。是非気合いいれた映画化おねがいしたいんだけどなー、流れましたか。トラファルガーも映像化しないかと思うけど、船だけでカネが尽きるか……。

● サブタイトルに「ブーリン家の姉妹2」とあります。同じ作者で時代的に連続しているために配慮したのでしょうが、前作の主役であるメアリ・ブーリンはまったく出てきません。一人称視点から三人称視点に変更されていたり、続編ぽさはうすめ。ただしメアリとエリザベスの過去を知るためにも、前作を読んでいたほうがいいことは言うまでもありません。まあ要するにチューダー家の姉妹ってわけ。前作は姉妹で王の寵愛をめぐりましたが、今作は玉座をめぐるわけでお話としてはスケールアップ! 狂言回しにはスペインの異端審問からのがれたユダヤ人少女・ハンナ。原題の"Queen's fool"は彼女のこと。予知能力を見出された彼女は、ロバート・ダドリーの推挙で男装の道化師として、陰謀渦巻く宮廷に入り込むこととなるのでした。

 前作であれほどすったもんだと死人を出したすえ、やっとこさ産まれた嫡出王子・エドワードは即座に崩御、残されたのは愛憎で結びついた姉妹でした。競争相手となるきょうだいの誕生ごとに持ち上げられ、さげすまされ、浮沈を繰り返してきた二人……。
 前作はテーマがテーマだけに当然閨房争いでしたが、本作は政治的暗闘です。軸となるのが姉・メアリーのカトリック、妹・エリザベスのプロテスタントという宗教になります。さらにハンナのユダヤ教もくわわり複雑なことに。ヘンリー八世はほんとうにたいへんなものを残していきました。

● ハルちゃんの遺産といえば、ハルちゃん自身の狂乱の血筋とハルちゃんに地獄においやられた王妃たちの怨念ですね。メアリがカトリックゆえに流血祭りにはしるのも、スペインにひかれるのも、失った母への暗い郷愁と情念を感じさせます。
 一方のエリザベスは……母の美貌(というか雰囲気美人?)、それに策士ぶりと性的奔放さを継承。日本ではプラスイメージが強い彼女ですが、本国では偉大ながらも煮ても焼いても食えないしたたかさや冷酷さがある統治者としてみなされているようです。処女王という別名も有名ですが、本書は冒頭でイチャイチャアンアンしています(当時十四歳)。なんとエリザベスは、自身をひきたてた恩人でもあり義母(ヘンリー八世六番目の王妃)であるキャサリン・パーの再婚相手と愛人関係になっていたということでして。
 どこからどこまで正反対。生前の母親同士を彷彿とさせるドロドロの策謀が続いていくのでした。

 姉曰く「妹はビッチで生意気なプロテスタントの女狐!」
 妹曰く「姉はブス処女、生まれつき老けているけど今じゃもうマジでババア、あんなのと結婚するフェリペマジかわいそーっ」。
 どちらも性格的にはかわいげがないけど、エリザベスがとくに……でもなぜか魅力的なんですよね。

 そうそう、忘れてならないハンナ。あくまで狂言回しですが、なぜユダヤ人というだけでここまで迫害されるのか、スペインの異端裁判怖いなあとか、いろいろ考えさせられる役です。

 下巻ではいよいよメアリとフェリペが結婚してしまいますが、さてどうなるのか。スケールアップしただけあって、前作よりおもしろいと感じさせます。

愛憎の王冠〈上〉―ブーリン家の姉妹〈2〉 (集英社文庫)愛憎の王冠〈上〉―ブーリン家の姉妹〈2〉 (集英社文庫)
(2009/09)
フィリッパ グレゴリー

商品詳細を見る

最上日記282「政治的には防勢で、軍事的には攻勢の戦争」

あらすじ: 九月十五日、いよいよ長谷堂攻防戦開始!

テキスポ「最上小町と上杉少将(一)」
FC2 7の82-83

 ものすんごくめんどくさいことをウダウダ書いていますが、要するに攻防戦では攻撃より防衛のほうが有利ってことです。
 実は関ヶ原と長谷堂を対比させるのはおもしろいんですよ! 戦国末期、動員数が多め。かたや平地戦短期決戦、かたや攻城戦かつやや長期戦。対照的かつ頂上決戦です。そして撤退という局地的ファインプレーゆえに勝利だの名勝負だの言い張る上杉側ですが、吟味していくと最上側が兵力をのぞけば有利に展開していたと分析できます。
 そうでなきゃ、あの兵力差じゃ負けていたっつの。

 女はグロや戦争が書けないとコケにされるので、もうキレた。兵法をおまえらが嫌になるまでみっちみちにフル稼働してやるから覚悟しれってがぁ!……とか冗談。読んでいて意味不明だったら控えますよ。

 あと愚痴。
 書くことそのものは続けるけど、テキスポでの公開がもういやになってきました。ひょっとしてあの荒しじみた作品は、私が呼び水となってしまったんだろうか。だとすればテキスポ自体に災厄を呼び込んでしまったのだろうか。考えると罪悪感で胸が痛む……どこかべつのサービス探してもいいけど、掲載するのがめんどうなのでPDF配付に切り替えようかしら。まいったな、年末年始は別の短編も書きたかったんだが……。
▽コメントリスト

イングロのいきあたりばったり精神は大事だ

 タラ公曰く、「そういやレナード御大も言ってたぜーっ、小説で二人男がいて撃ち合いになるのはわかってんだけどさ、書いてみるまでどっちが撃つかはわかんねーってさあ」

 あと「ユダヤの熊」は空手映画の「北海道の熊」からとったらしい。できておる喃……。

 素晴らしい。エンタメかくあるべし、さすがエルモア・レナード、世界一会話がうまい(と私とタラ公がおそらくは)認定している作家だ。

 それとこういうところに書くべきじゃないんだが、シロイケイキ嬢は人肉ネタを書くならそろそろクロルは飽きたな。アルバート・フィッシュを入れて緩急をつけるくらいの工夫はほしいですな。
 あとやっぱ少々流行遅れは認めざるをえないけれども、アルミン・マイヴェスは強烈ですね。ホモ+カニバリズム+インターネットというトリプルプレイはそそらざれるをえない。

 この事件を元にしたRammsteinの曲にMein Teil(ぼくの一部)つーのがあるんだが。
 ライヴでこれを演奏するときは、一番小柄なメンバーを鍋型のセットにぶちこんで下から火炎放射であおるとう鬼畜パフォーマンスをやるらしい。Rammsteinのライヴは火炎放射のしすぎで見終えた後鼻の穴が真っ黒になるってさ〜いきたいな〜。

Mein TeilMein Teil
(2004/09/21)
Rammstein

商品詳細を見る

ドラマ『キング・オブ・キングス 皇帝誕生/帝国崩壊』

● 50億円を投入したというナポレオンの生涯を追うドラマ。それだけにセットや戦争シーンの豪華さは垂涎ものですが、なにせ所詮は総集編。カットカットカットの暴風、チッ、ジョセフィーヌとの痴話ゲンカより合戦やれよ! と思うのは必定かと。元帥さんで目視確認できるのはミュラ、ランヌ、ネイのみです。

 しかし大河ドラマ『苦行』……じゃなかった『天地人』を海外配信とかもうね。こういう真の大河を見ちまうと恥さらしもいいところだと思います。まずもってロケシーンにせよ宮殿(たぶんほんもの)にせよ、迫力が段違いですもの。戦闘シーンが短いといっても、飛んでくる砲弾にあたって「ぐしゃり」と頭蓋が砕ける音とともに騎兵の首が飛ばされたり、グロから逃げません。撮影中に死人が出そうな迫力や、軍服の格好良さ、ドスンドスンと低音で響く砲撃音はさすがです!

 役者もうまい。ネイが白髪でどこが赤毛(栗毛)だ、とかミュラの髪の毛が短いとか、アレクサンドル一世が増毛しおって不埒(参照リンク)とか、もうちょっと似せる努力してほしいとは感じましたけどね〜。全般的に役者が老け気味で、後半部はいいけど前半部はつらいとか。軍人なのにみんなメタボりすぎとかそういう不満はありますが、なにより演技力はあるしタレーランは神の域に達していました。
 そして魅力は脚本。あれだけとばしとばしだし、ナポレオン美化がちらちらあるにも関わらず、特にフーシェとタレーランの台詞はともかくフランス人らしい嫌味に満ちていて素敵で詩的でともかくかっこいい。

 NHKはもう再来年の大河はうっちゃって、これをノーカット版流せばいいと思うよ。
 ダイジェストなので知らない人が見れば意味不明だし、つらいだろうけどナポ時代の雰囲気を味わいたいなら是非。

 でもタイトルはエンペラーなんじゃないの!?

キング・オブ・キングス EPISODE 1 皇帝誕生 [DVD]キング・オブ・キングス EPISODE 1 皇帝誕生 [DVD]
(2003/07/25)
ジョン・マルコヴィッチジェラール・ドパルデュー

商品詳細を見る


キング・オブ・キングス EPISODE 2 帝国の崩壊 [DVD]キング・オブ・キングス EPISODE 2 帝国の崩壊 [DVD]
(2003/07/25)
ジョン・マルコヴィッチジェラール・ドパルデュー

商品詳細を見る

最上日記381「義よ、汝の名の下でいかに多くの罪が犯されたことか」

あらすじ: 決戦前夜、三成は焦る。

テキスポ「傷だらけの鴻(三)」
FC2 7の80-81

 某ドラマへのアンチテーゼじみた問答。くさい台詞の連続ですが堪えてくだされ〜。戦争は悪と頭ごなしに決めつける人に聞きたいけど、こういう決戦前夜のむちゃくちゃ濃い激情に感動したりせんかね? 私は想像するだけでたまらん気持ちになる。戦争はむごいけど、人間の意志が結晶となる場でもあるのだ。

 明日からは長谷堂へうつります。
 なんでこのまま関ヶ原にしないかというと、長谷堂を関ヶ原結果分かった状態でやると、いまいちもりあがらんかなあというわけで。
 それにしても本作は関ヶ原がやけに長いね。ペース配分くるっとる。

映画『イングロリアス・バスターズ』は伝奇だね

公式サイト

 『キル・ビル』のオープニングに深作欣二に捧ぐと入っていたけど、こっちに入れたほうがはまるんじゃないかと個人的には思いました。忍法帖に出てくる忍者みたいなバスターズ、史実をネタにドンパチエンタメして何が悪いんじゃいという爽快感のある居直り開き直り、過剰な暴力描写を笑いにもっていくハイカロリーっぷり。そういうところが『魔界転生』とか『柳生一族の陰謀』を思い出させるんですね。極悪ナチのランダ大佐が成田三樹夫みたいだしさ。

● 本作のキモはいろいろあるんだけど、まずはタラ得意のレナードタッチ風味脚本(あのこねくりまわした会話のこと)がもはや頂点に達したところだと思う。今まではそれただのだべりじゃん、カットしても問題ないだろだったのですけれども、今作はそうじゃない。無駄とみせかけて伏線やら人物描写やらをみっちり詰め込んであるのです。もう会話で眠くなったなんて言わせんぞ! 会話を聞いているだけでドキドキして一瞬先がどうなるかと、もうあきない。心理的駆け引きでジリジリさせておいて、ラストはそのストレスを文字通り燃やし尽くして爆破でボボーン。タランティーノ、やはり映画センス抜群です。長い上映時間をまるっきり退屈させないうえ、その中身がほぼ会話シーンだけですからね。タランティーノは本当に映画史を変える力量があるんだよな。あまりに映画として会話シーンが突出しているので、もう今年はこれがベストワンでいいと思うんです、私としちゃ。会話シーンが面白いというのは最高なんです。どこかのシーンだけ切り取ってぽーんと投げつけてもおもしろいんだもん。ともかくどのシーンの脚本も、切り取って保存したいようなものだけです。極上です。極めて旨い。

 戦争中であるにもかかわらず、だべってばかりだけどその会話中にバッカンバッカン人がゴミのように死ぬところが、むしろ戦争だなあと感じました。戦争中はいつだって地獄と隣あわせなのさ。

● 今作のポイントが、各国語を使い分けていること。字幕を使うとアメリカでは興行収入にダメージすらあるといいますし、もう何人でも英語を喋るのになれきっていた私としちゃあ、大満足。しかもただのこだわりではなくて、作品を構成する重要な要素なんですよね。四カ国語操った大佐役は天晴れ。ブラピが「馬鹿こくでねえ、おれだってイタリア語くれえしゃべれっぺさ。まかしどげ」とエバるところは腹筋ひきつるくらい笑いました(個人的な意見だけども、にブラピの訛りは東北弁で吹き替えてくれ)。

 本作は笑いどころが残虐さやアメリカ人は田ゴ作であるという強調であったり、またおもしろさは濃密な会話にあるため、ぜんっぜん一般受けはしないと思います。むしろ鼻持ちならぬ映画グルマン向けの映画にしちまったなタラ公よぉ、というかんじ。いやいや、こういうのを絶賛されない国のほうがおかしいんだよ。私にとってはすんげー極旨作品。もうタラには一生ついていくしかない、と決意を新たにしました。見終えたあとテンションがあがって困った。

イングロリアス・バスターズ オリジナル・サウンドトラックイングロリアス・バスターズ オリジナル・サウンドトラック
(2009/11/11)
サントラデヴィッド・ボウイ

商品詳細を見る


 追記は致命的なネタバレです。
▽コメントリスト

祝! 『天地人』完結 マッセナさんが再来年の大河について語りたいそうです。

taigamassena

 私は今年の大河を「苦行」と呼ぶね。

藤本ひとみ『マリー・アントワネットの遺言

● マリー・アントワネットの弁護士をつとめた娘で、今は娼婦までおちぶれた女。その弁護士から手記を託された破戒僧。マリー・アントワネットの娘でたったひとり生き延びた"マダム・ロワイヤル"ことマリ=テレーズ・アングレーム公爵夫人。ナポレオンがおりしもエルバ島脱出する前夜、王妃の遺言をめぐって三人の運命が交錯する。

 うまくまとまっています。
 中核となる王妃遺言の謎はわりと簡単に予想はつきますが、別段ミステリーではないので問題なし。それよりも旦那が性的不能なため、「処女だからイライラしているんだろう」と口さがないことを言われてしまうマダムのある意味目覚めの物語として読むべきかも。三人の主要人物のうち、二人が性的に放埒なのに対して、彼女だけ処女というのもうまい対比です。そこに王妃の告白もからめ、マダムが動揺しながらも悲劇の母の思い出にすがっていきる少女(三十路過ぎだけど精神はそんなもん)から、一皮剥けて光あるラストへつながっていく構成はそつがありません。

 本作でもっとも好感を抱ける部分は、決して魅力的とはいえないマダムに対してむけられた作者の温情ある目線です。史実では最後の最後まで救われぬ人生であったからこそ、フィクションで一筋の光をそそいだといいますか。歴史への敬愛が感じられてとてもよかったと思います。

マリー・アントワネットの遺言 (朝日文庫)マリー・アントワネットの遺言 (朝日文庫)
(2002/10)
藤本 ひとみ

商品詳細を見る

山形道中記もがーめぐり5「さらば山形、また来るよ」

 はくす。ありがとうございまーす。最近は勝手に人物がしゃべるのを書き写している気分なのでかなり楽になりました。これがキャラが動くってやつすかね。

千歳山こんにゃく

 芋煮でおなかいっぱいですが、やすむ間もなくガッツリ食べるのであります。山形玉こん最高峰という千歳山こんにゃくです。
 で、でかぁ! まずその玉の大きさに圧倒されます。しょうゆのしみたかんじがいいなあ。寒い季節ならよりおいしさもますもの。芋煮直後でもローカロリーだからいいんだもん。そしてお味は……
 あ、こんにゃくなんて同じだと馬鹿にしているだろ!? ちーがーう。香りもちがうし、何よりこんにゃくの歯触りがもう「これはこんにゃくであってこんにゃくじゃない」と形容したくなるほどプリプリですよ、もうたまらんですよ、なんだこの弾力!? うみゃーい。満足満足です。

千歳山万松寺
yam0911_IMG_0029.jpg
 この門は山形城改築時、義光さんが「じゃ、門あげちゃう」とお寺にあげたものだそうです。なんかお城門にしてはちんまりしているので、そりゃ義光さんも防衛力が不安になっちゃうよと思ったり。
 あこやの松伝説があり、奥羽一有名な歌枕があるお寺。義光と政宗もこの松をまくらに歌を詠んだり、駒姫の名前が当初千歳にしてはどうかと奥方が提案したり、最上とも縁があるお寺です。
 心霊現象もよくあるらしい……。


 あとは定番の最上義光歴史館(おみやげコーナーが直江に占拠されていてなんかムカつく)、光禅寺、常念寺をまわって観光終了、あたりは真っ暗です。

 ガイドのIさんのおかげで、おいしいものとマニアックな史蹟めぐりができてとてもしあわせー。Iさん、ヨシカちゃん、それに芋煮につきあってくださった皆様、ホテルや施設のみなさま、お世話になりました。今度は春にいこうかな。山形はいいところです。

最上日記380「君が為に死せん」

はくす。
 うん、読むだけ無駄。うちにあるのは床にたたきつけてもうボロボロになっているし……。

あらすじ: 決戦前夜、謀略総仕上げ。
テキスポ「傷だらけの鴻(二)」
FC2 7の79

 三成も、秀秋もどっちにも共感できるから辛いのだ。
 でも書いていて作者がひりひりするくらいじゃないと、読者は何も心に響かないと思う。
 気分的にはどっちの台詞も情念をこめて、必死こいてアテレコしているようなもんといいますか。


 合戦や決戦シーンは、戦う双方に感情移入できるのが一番好きです、あらしにもまれるみたいな切なく激しい気分になれるんで。そんなふうに書ければイイナ!

山形道中記もがーめぐり4「そしてこれが芋煮なのである」

馬見ヶ崎川で芋煮会
yam0911_IMG_0028

 二日目午前から午後前半の予定がすべて「芋煮会」なのです。
 芋煮ランキングでも最上位、それが馬見ヶ崎川での芋煮。季節としては二週間ほど遅いうえに雨まで降っているのですが、そんなときは橋の下でやればいいじゃない!
 そんなわけで有志十余名が歓迎する中、小雨と風にも負けずレッツ芋煮だごー。

 驚異の芋煮ポイント「すべて手配してくれる業者が」
 スーパーあたりに頼んでおくと、芋煮機材から材料までワゴンでその場に運んでくれる。鍋をさっとあらっておいておけば、あとで回収にも来てくれる。

 驚異の芋煮ポイント「河原のひみつ」
 河原には石がある、これをつみあげて鍋をかけるのだー。次の人のために石はそのままにしておくため、行軍のあとかよとつっこみたくなるくらい、河原にはこげたあとの岩がゴロゴロ。

 ところで。
「芋のあくはとるな!」
 ここで、こんな衝撃的な新説が。すくってあとで加えるのがコツらしい。あ、お肉のあくはすくうんですよ。結果は……皆、味の違いはよくわかりませんでした。
 芋煮のネタにあのゲームやあのドラマやら、まあほらその、もがーめぐりだから。山形だからな話題に。ここであかせないのは残念ですがいろいろ楽しいネタが。そして皆様何より親切で嬉しいのです。山形は人情の国だー。

 そして芋煮。味付け初挑戦ゆえおそるおそるですが、ともかく醤油は大胆にどぼっと! どぼっと!
 お味のほうがやっぱりおいしい! それに屋内より断然焦げ臭さも魅力の屋外にかぎります。味が三割はアップするよ。おいしい山形牛、こんにゃく、醤油、里芋……やはり芋煮はおいしい。宮城と庄内のひとには悪いけど私は醤油+牛肉の山形派ですね。どっちもいいけどさ。

 おどろいたといえば、醤油へのこだわり。掌にとって味をみて、真剣に分析する山形人に驚愕。
「これは芋煮向けで刺身にはきつい」
 うわー、すごい分析だ。

 でもこれだけ楽しくておいしいと、あそこまで情熱をかたむける理由がわかりますねえ。芋煮はすばらしいよ、山形の誇る文化なのだ。やはろ山形グルメ王者は芋煮に決定ということで!

そんな長谷堂は悲しい

 ……無双、どうせ買わんけどほら、綾御前という名前で仙桃院が出るそうじゃないですか。お船ならまだわかる。いやいやいやいや景勝ならまだわかるというか、妥当。なんで仙桃院? コーエーさんは人選が致命的にへたくそだ。半兵衛と勘兵衛だって、あれが直政と正信だったらまだ理解できるんだけど。
 
 でですね、NPCが多いとか言われていますけど、義光さんがモブで綾御前がNPCの長谷堂とか想像してまっつぁおになりました。多分そーなんだろーけどなー。

 あとこれ。時代屋さんのモバイルサイト一番上、ミニブシ補完計画になんと義光さんがいます。浅井長政、ボンバマン久秀、半兵衛らにまじって、ゲームキャラでもないのになぜか紛れ込んでいる。しんがり争いしていないだけマシというか、選択肢に入った時点でべっくらこいた。
 ど、どうか投票してあげてー。

 そうそう、ゲームといえば現在のコーエー風味のマップで展開する国盗りじゃなくて、忠実に実際の合戦を再現したシミュレーション、一手まちがえばボンッだみたいなやつ。そういうゲームってあればいいなと思うんだよな。ワンパターンになるかもしれないけど。マゾゲーぽいけど。

最上日記379「爛れた翼を持つ天使」

あらすじ: いよいよ西軍が関ヶ原に布陣するが……。

テキスポ「傷だらけの鴻(一)」
FC2 7-78

 ほんとかうそかしらんけど、メッケルがどうこう言ったと伝わる関ヶ原布陣図。
 そんなもんメッケルでなくても西軍有利だとわかるわ。完璧はさみうち構造だわ。家康三万を毛利一万五千と宇喜多一万七千ではさみこみゃ勝つわい。

 デモ問題は中身なのだ。
 戦略面では三成が勝っているのだ……戦術面でも大谷吉継、島左近が関ヶ原じゃ一番優れていたのだ。島津は戦術を純粋離脱に使っているからノーカウント。
 じゃ、なぜ東軍が勝ったか? それは家康が謀略の限りを尽くして西軍にとっての摩擦(誤算)をせっせと生じさせて、戦略の根幹を腐らせたからじゃないかね。
 もしこの場に三成戦略にしたがい、秀頼がいたら西軍は負けるほうがむずかしい……。
 続きは本編で! たらららーん。

 あとやっぱ兵法おもしれーーーー!!!
 
 個人的武勇や戦術が飴玉だとすれば、謀略こそ最上の美酒で大人向けですね。どうしても派手だから前者が好かれるし、義と愛で思考停止すれば楽だからクリエイターもそっちに流されるけど。
 謀略は最強ですよ。
 大人向けでいやらしくて、こそこそ行われて、華麗で、人を酩酊させる。おこちゃま向けの戦術なんざどうでもいいぜ、ってくらいハマるとおもしれろいんだな。謀略を駆使する武将はそれだけでもうだいすき、愛しちゃう。

私がどんな人間だったか、何を考えていたのか、何を望んでいたのか。それを数世紀間にわたって論議してもらいたいのですよ。
 世界規模でトップクラスの謀略家・タレーランの言葉

山形道中記もがーめぐり3「魅惑の月岡ホテル」

月岡ホテル

 さて、へろへろに疲れたところで宿の月岡ホテルへ。
 ここは上山=月岡城址にあるというホテルで、ロビーには甲冑(本物)があったり、施設に本丸や二の丸とついていたり、気分は殿様になれるすんばらしいお宿でございます。
 ちなみにコンクリ作りのなんちゃって天守閣はあれはべつもの。

 私たちの客室は角部屋で、バッチリ庭にある遺構が見られましたよ♪

yam_dinner
 旅の楽しみ。それはグルメです!
 ばばーんどどーんと超豪華なお食事が! 肉や魚もバッチリですが、特に野菜がおいしくてうれしいのです。それというのもホテル専用農園で有機野菜を作っているからなのですぞ。
 肉も山形は実はおいしいのだー! 米沢牛も有名だけど山形牛はコスパが高くてグーですよ。今回は豚しゃぶですが、これもぷりぷりです。お漬け物までぬかりがない、特に大根のたまり漬けがじつに美味。茶碗蒸し、ビーフシチュー、デザートの手作りプリン……写真に登場しないものもおいしかった〜。

 写真がありませんけれども、朝食もおいしい!
 有機野菜たっぷりのメニュー、それになんと山形ならではの玉こん、紅花入りおかゆ等など、地域色ゆたかなグルメで朝からもりもり食べてしまいました。このあと芋煮会なのに自重できないんだもん。かぶの味噌汁が特に絶品でした。

 実は温泉宿にもかかわらず、満腹のあまり客室にもどるとバタンキューで真夜中まで仮眠のはずが寝てしまった私たち。早起きしてがんばって温泉も満喫しました。お肌がツルツルになるし、湯温も適切、露天風呂もいいかんじです。

 そしてなによりサービスがいいんですよね。客室の清掃、設備、笑顔のまぶしい従業員さん。日頃ビジネスホテルばかりの自分としては、こういう付加価値があるからこそリゾートに意義があるのだと感動しました。やっぱりたまには旅行だ! 山形の旅はいいぞ!!!

ジョミニさんやらクラウゼヴィッツやら

 読んでいたらいろいろ頭こんがらがるようで、整理できてスッキリ楽しいです。
 戦争学はむずかしいよ。すっごくむずかしいんだ。でもおもしろいぜー。
 戦争を否定するのは簡単だけど、どうして駄目なのか。必要な戦争もあるのではないか、と考えるのはそれはそれでよい。戦争の否定は人類の否定でもあるわけだし、人類最高の機転と知能は勝ち戦で発揮されるわけだ。

 んなわけで付録更新。石鹸屋が心の叫びを……。
 書けば書くほど自分の馬鹿さかげんと、昔の英雄がすごいってことがわかってくるや。

戦争概論 (中公文庫―BIBLIO20世紀)戦争概論 (中公文庫―BIBLIO20世紀)
(2001/12)
アントワーヌ・アンリ ジョミニ

商品詳細を見る


戦争論〈上〉 (中公文庫BIBLIO S)戦争論〈上〉 (中公文庫BIBLIO S)
(2001/11)
カール・フォン クラウゼヴィッツ

商品詳細を見る


 戦争はよくない、で終わるのはそれもまた思考停止なんだよな……何がどうして悪いか、すべての戦争が悪かを考えねば。

山形道中記もがーめぐり2「山寺頂上作戦」

 さてお昼から午後ですよ〜。

天童「水車生そば」の鳥中華
 「じゃあラーメンでも食べますか」とガイドをつとめてくださっているIさんがおっしゃったのについた先はおそば屋さん……あれ?
 この店ナンバーワンメニューがこの「鳥中華」。元は隠れメニューだったそうな。和風だし、天かす、鶏肉トッピングとラーメンだけど確かにそば屋さんでなければ実現しない味。私がラーメンの中で一番好きな醤油ベース縮れ太麺ではないですか! スープはこしょうがきかせてあってぴりりとしていて、麺はコシがあってウマーウマーです! しかも650円とコストパフォーマンスも高い! 
 これはくせになる。近所にあったら週に一度ペースくらいで食べたいあじです。こういうサッパリ系のラーメンが関東にももっとあればなァ。

 そのあとは車で長瀞城址(看板のみ)などまわって……山形観光のラストダンジョンへ!

山寺
 みうらじゅんさんもイチオシ山寺です。
 どうしてラストダンジョンかというと、なんかFFとかそういうゲームにありそうな、上へ上へとのぼっていく構造が似ているといいますか。ゴールドセイントがいるような構造といいますか。なんとなくフィーリングでわかってほしい。

yam0911_IMG_0010
 といっても麓の立石寺でリターンしても問題はなし。義光が25歳正月に祈願したのはこちらの立石寺です。戦国時代はしばしば焼き討ちにされたりしております。最上家が復興にも取り組んだ寺でもありますな。
 立石寺をぬけると怒濤のおみやげゾーンがある。とりあえずこっちは帰り道によろう。

 あとはひたすら石段だ! 聖闘士になったつもりで登るべし。大丈夫だ、敵はいないから。
 私もふくらはぎがパンパンになったのでえらそうなことは言えないんだけど、高校生くらいのおにいちゃんがむちゃくちゃハアハァしていて気の毒になりました。ちなみに山頂部にはポストがあるんだけども、郵便配達の方は当然毎日ここまで登っているそうな。体力つくだろうな。
 崖には謎の穴がいくつもあいているのですが、ここの中には入寂した法師の遺骸が安置されているらしいのです。どうやって入れたのかは謎。

yam0911_IMG_0013.jpg

 絶景ーーーーーッ!
 季節は紅葉おわりかけかと思ったけれど、そうでもないみたい。蔵王山脈は終わっているけど里山は今が旬です。やっぱ東北の紅葉はきれいだなあ。

yam0911_IMG_0016
 そしてこれが最上義光御霊屋。死後一時的に遺骸を安置した場所。
 義光の亡くなったのは新暦二月末。雪の中こんなところまで遺骸を運ぶのは大変だったでしょうねえ。でもまあ暑い最中よりはある意味マシか。
 この歴史的建造物にはいろいろとモニョることがあったんですけど、敢えて書くのはやめておいてですね。

 帰り道はキャッホウ、土産もの屋で玉こんだ♪ やはり山形で歩いたら玉こんをぱくっと。連れのヨシカさんは期間限定さくらんぼソフトを食べていたんですが、11月にもあるのに期間限定ってどんだけ長い間提供しているんでしょうか。謎だ……。
 謎といえばアタッシュケース片手にサラリーマン風のおにいさんが山寺にのぼっていったよ。いろいろ謎が多い場所でした。

攻寺(?)難易度:☆☆☆☆☆

 高楡城址(看板のみ)、畑谷城址も見ました。残念ながら畑谷は時間がなくてすでに真っ暗。写真を撮る勇気はあったけど、撮ってもちょっとわからないかなあといいますかですね。
 『天地人』と連動しているのは結構なんだけど、動物型遊具と「前田慶次郎」ののぼりはちょっとそりゃなかんべよ、おめーよーと微妙な気持ちになったんですが。
 どうも山形の史蹟は素ボケしている部分があるんだよなあ。それも味っちゃ味なんだけどさあ……来年はどうなるんでしょう。

 明日は月岡ホテルで山形グルメと温泉です。月岡ホテルはホテルそのものがある意味上山城というすごいところなのだー。
▽コメントリスト

バグに時間かかりすぎた

 新最上記は明日更新します。左近さん奮闘予定。

 はくす。
>視聴率
 なんかあのドラマファンで私を大嫌いな暇人が粘着してるぽいですね〜。まあアテクシの西軍は正義なんだからプンプンみたいなおにゃのこぽいけど。

山形道中記もがーめぐり1「古城址めぐり」

 山形旅行記。
 11/13午前中、城址めぐり

鮭延城址(正源寺)
 ここは線路のすぐうしろが寺門というちょっと珍しいつくりです。門内に除雪機を置くセンスは何とかしてほしいのですが(悲しいことに山形の史蹟はあまりに日常と一体化して、こういうことがとても多い)。わりと街中にある城なので防衛力は普通ってとこですかね。

攻城難易度:☆☆
0911yam01

延沢城址
 長谷堂程度のきつさはあるので、足下は注意すること。
 ザッツ山城! といわんばかりの小高い山のうえにある城。寒暖の差によって霧が発生しやすいため、別名霧山城。山頂の石碑がる程度と思っていると、脚もとに基礎となる石のあとがあって興味深いものが。山の上から雲を見ることで天候予測もできるそうです。

攻城難易度:☆☆☆☆
0911yam02

最上徳内記念館
 まさかの閉館!? と思っていたら風で案内板がめくれていただけ。なんと職員さんにお茶まで出して頂き感動しました。今回のおめあては楯岡満茂の甲冑はじめとする楯岡城展であります。
 満茂公が嫁ぐ娘に形見として授けたもので、子孫のかたが保管しておられるそうです。甲冑はとても保存状態がよく立派、デザインもすばらしく、高級感にあふれていて、これが上級武士のものかあとうっとり。それになによりデカい。満茂公は180くらいあったかもしれない。前田慶次あたりは見ても威圧感を覚えなかったけど、これは背の高さだけではなくあつみもあって、満茂公はかなりガチムチマッチョな偉丈夫ではなかったかと思われます。それにしても、義光公も伝承じゃ180超えの大男、延沢満延さんはカイリキー、最上家中はたぶん褌一丁になったらスパルタ軍みたいだったんでしょう。こええな。Haroooh! ……義光マッチョメンコレクター疑惑が。
 展示物じたいは多くありませんが、満茂公ゆかりのものだけに、軍旗等他にも貴重品が多くありました。……最上義光歴史館常設並かそれ以上の充実感、かも。
0911yam03
 
 最上徳内公の業績はほとんど知りませんでしたが、感動しましたねー。特にアイヌのひとびとに向けるあたたかいまなざしが素晴らしい。大河ドラマ最上徳内、イケるんじゃないですかなんて話に。北海道を舞台にできるし、シーボルトや間宮林蔵とからませればいいかんじでは!?

主演:内野聖陽
第**回「蝦夷へ」
第**回「ふたたび蝦夷へ」
第**回「みたびの蝦夷」
第**回「四度目の蝦夷」
第**回「蝦夷へ五度目」
第**回「第六次蝦夷探検行」



 みたいなかんじになるか……。
 いや、おちゃらけ抜きにして素晴らしい偉人だと思います!

 ではお昼、天童鳥中華から午後はまた明日〜。
▽コメントリスト

モガミニッキ「ジャン=ミシェルはランヌとネイから」

 今日はこの更新で。ごめんよ。

 つまりは山形旅行の収穫がデカかったということにも。いろいろサクサクっとなおしていきますのでよろしく。

永岡慶之助『最上義光』

公式案内

● ええと。

 最上義光はネットの記事が充実していますね。Wikipedia,アンサイクロペディア、それにニコニコ大百科。ニコニコは特にオススメです。最上義光歴史館もいいですよ。
 この動画もいいですよね! コーエーさんGJです。



 そうそう、これも定番だわ。
戦国ちょっといい話・悪い話まとめ
 このサイトもオススメです。

過小評価・誤解されている戦国武将 最上義光

● えーとですね、本書の感想はというと。

「上記サイトを見たほうが無料だしおもしろいし、史実に忠実なのでオススメ」

 ……主役になっている小説より、ゲームのムービーやアンサイクロのがある意味史実に近いって、どういうことなんだよ。

 ……もう『仁義なき戦い』で出てきた直後に殺されるレベルのチンピラ扱い(演・福本清三)な義光公には疲れたよママン……せめて成田三樹夫クラスにしてくれ。

最上義光 (人物文庫)最上義光 (人物文庫)
(2009/11/10)
永岡 慶之助

商品詳細を見る


 それ以上は、私に聞かないでください。お察しください、お察しください……ぐああああああああああ、邪気眼がうずくぅぅぅ!

そーいうのを辛勝というのだ

 拍手。

>オリアン
 とりあえず11と12を試し読みしてみることをオススメします。

>「まあいくら吉梨さんが「天地人」を失敗作認定したくても、視聴率平均20%オーバーという客観的事実は揺るがないわけですが。」

 で? あんなもんを成功作認定するチミの審美眼は一体なんだ。 

「将軍、敵が見えました。その数およそ一万!」
「一万か、迎撃態勢に入る」
「御言葉ですが将軍、数ではこちらは二万でうわまわっています。されど兵粮武器弾薬が不足し、兵士は訓練不足。士気はさがるいっぽうで脱走者があいつぎ、おまけに病が流行しており、遠路はるばるきた疲れも残っております。地理的にもこちらが不利、まともに戦える状態ではとても……」
「数では勝っている以上迎え撃たねばなるまい」
「し、しかし斥候によれば相手は強で武器も充実し、決死の覚悟とか。風向きも地の利もあちらにございます」
「だが数ではこちらが上だ!」


 合戦の有利不利はどうしても数で判断します。確かに他の士気、訓練度、武器弾薬の備蓄といった要素はみえにくいから仕方ない。けれど数だけ上でもこうした要素がそろっていなければ、たとえ相手が十分の一でも敗北はありえます。

 これは視聴率でもいえます。
 確かに『天地人』は20%超えています。が、おりからの戦国ブームという追い風、三傑をからめたテーマ、『篤姫』の翌年という有利、子役やキャストの話題性、宣伝費用を考えればこれはいい数字では決してない。NHKの本年では『篤姫』超えかそうでなくとも平均25%超え、あわよくば30%に迫る勢いすら視野に入れていたのではないかと推測することは難しくない。
 そして言うまでもまったくないことですが、質の評価はほぼ最低です。関連書籍も原作者の書籍もたいして売れていないようです。さらに役者泣かせの現場でもあったようです。
 これが危ない。
 再来年以降、こんなふうになる可能性がある。

出演したある俳優「あんな****(武将名)、あの世で****にオレ殺されるんじゃねえかと思った。恥ずかしくて録画も見直せねえよ、二度と出るかバーロー! おい、おめえらも出るんじゃねえぞ」
出演したある女優「あの役のせいでイメージダウンしたに決まってる。脚本は無茶苦茶、あんな女演じていて吐き気したわ。もう二度と大河はごめんね」

あるベテラン俳優「大河ねえ……昔はよかったけど今のあんなんじゃもう出る気しないねえ」
ある若手女優「大河って拘束時間長いわりにギャラは安いし。それでも評価あがるならいいけど、それもビミョーってかんじ。出ることで演技力アピールできるとか、勉強になるならいいけどそれも、超ビミョーだし。出る価値ないじゃん」

 大河はギャラの安さや拘束時間というネックはあるけれど、民放ではのぞめない知名度や演技力向上といったなおあまりあるメリットがありました。ところがそれすら薄くなってしまったら、集客力のある俳優はますます集まらなくなる可能性があります。そうなると役者頼みもできなくなり……

自治体担当者「是非我が殿は役者の****さんで……」
NHK「****さん、おねがいします」
役者「だが断る」

 こんなことが続けばどんどんじり貧になるのは目に言えています。役者が出ない、視聴率があがらないのスパイラルに陥り帝国崩壊は必至の状況になる。地域活性化の効果が低下すれば、あるいはかえってコケにするようなことをNHK様がするとなれば、自治体からのカネも落ちなくなる(今回の出来を見て、米沢=前田慶次郎、山形=最上、仙台=伊達、上田=真田、静岡=徳川の地元あたりはもう二度と大河になんか協力しないよと怒り狂っていることでしょう。
 濡れ手に粟で稼ぐのではなく、質のいいものを作らねばいずれ崩壊する。たとえ数字の上で勝っても意味はない。
 

 勝利して城を落としたとする。でもすぐに奪還されるような辛勝であれば意味がない。
 勝利したとしても、優秀な将軍、兵士、馬を失ったとする。そうなれば勝利であっても被害が大きくて喜ぶことはできない。

 勝利はむろん大事です。しかし中身も大事だ。これだけ今年は宣伝費用をかけたに結果は辛勝レベル。関連商品の売り上げに関してはすでに敗北の兆しがある。
 はっきり言いましょう。『天地人』は勝ったとしても次の勝利には結びつかない愚劣きわまりない辛勝です。返品されてきた関連商品の山を見てげんなりする日もすぐそこでしょうし。

 これだけの追い風と有利な要素があって20%超えで勝利のガッツポーズ……妄想の中で家康を打倒しニヤついていた兼続みたいな、程度の低いものだと敢えて書いておきましょう。

最上日記378「ちがい鎌」

 明日は更新おやすみです。あしからず、山形いってくるよ。

あらすじ: 大垣城の三成は急報に驚き関ヶ原を急遽めざす。

テキスポ「焦燥(四)」
FC2 7の77

 秀秋の緋色に鎌をえがいた陣羽織、あれがどうしても世間一般的な秀秋像と一致せずに悩んでおりました。あんな真っ赤な激しい色をこのむ人が優柔不断かなあと。さらにこの逸話を友人から教えて頂きまして、私の中で秀秋は何か情熱(ただしゆがんだ)を抱いた存在になりました。

 どうしても後世の神目線からみると、歴史上の人物が小さく見えてしまうものだと思います。こうなるんだからどうしてこうしなかったと、辛辣に見てしまう。でも、そのひとが立っているところまでおりたって、そのときあなたはどうしたかったのかとインタビューするような気持ちになるとどうだろう? 自分がつまらなくて頭が悪いということは、まあ悪いことですけど……利点でもあります。私だったらこんなことできない、ベストを尽くした、あのひとはえらかった! と思っていくと大概の歴史上の人物に限りない親愛を抱けるようになるんですよねえ。歴史は楽しい。私は歴史の勉強を今後できなくなるくらいだったら、死ぬほうがマシだと思うくらいすきです。

NHKの体質を推理した!

信長を伯父に、秀吉を義兄に、家康を義父に持ち、将軍正室にまで登り詰めた浅井三姉妹の三女・江。


 再来年の大河原作『江』の新聞広告の文字を見て首をかしげたんですが。まず三傑に関わりのあることを強調し、次に「正室までのぼりつめた」とあるんだけども。
 これは何かおかしい。もやっとする。

 『天地人』にも出ている杏さんや松田龍平のプロフをみて、まっさきに「****の娘・息子」とあったらもやっとしないかね。何より本人がいやだろう。私は私のキャリアや才能があると主張したいだろう。そういう志向が強い人間は、親の七光りすら隠蔽する。スティーブン・キングの息子とかね。
 人間というのはコネや親戚に誰それがいるよりも、まず業績を書かないかね。お江には将軍を産んだという「業績」(というには微妙かもだが)があるのになんでそれを書かないんだ?
 そもそもサブタイトルの「姫たちの戦国」も、もやっとくる。「おんな太閤記」はまだいい。女には少女から老女まで含まれるからいい。けど姫っていうのは未婚女性だろ。お江の人生で姫というのはほんのすこし、残り期間は妻であり母だろう。女ならそのすべてをカバーできるけれども。
 三十路過ぎてお姫様扱いを喜ぶ女なんざ私は大嫌いだ。フン!

 たぶん姫というのはセレブとかプリンセスとか、ピンクでキラキラしたデコぽい感覚を狙っているんだろう。アホか! 大河ドラマにレースのティッシュカバーを強引につけて何がしたいんだ!? フェラーリがパールピンクにぬったくってあったりしたらキレるだろ!? ラーメン二郎でがっつり喰うぜと思っていたら、ラーメンはちょっぴりでケーキセットを出されたらどうなのよ、実際!? ステーキセットで肉よりつけあわせのデザートがでかいとか……ともかくなんで戦国+プリンセスなんだよ。ならおとなしく『あんみつ姫』でいいべよ。そりゃなかんべよ、おめーよー。

 たしかに戦国好き女性は多いけど、そういう系統がデコカワピンクなモテ系戦国なんて求めちゃいないだろう。『篤姫』の二匹目どじょうをねらいたいのかもしれないけど、お江が乱世を動かしてすべて解決とか無理だから。ありえないから。

 それにしても「守株」もいいところだ。同じ株を『天地人』でこしらえて失敗、そしてまたぬけぬけとこんなものを作るNHK大河ドラマ担当部署は、脳みそのかわりにスイーツなクリームでも頭蓋骨内部にたぽたぽ波打って入っているのかね。おえげろうえ。


 そしてこのキャッチがナウなスイーツにバカウケと思っているNHK内部を推理した。すなわち、彼らにとってはコネこそが正義なのだろう。過去に何を作ったか、才能があるかより「あのひとは++++さんの妻・夫・知り合いだからスゴーイ」という考えでがちがちなのだろう。だから、ああいうキャッチを考えて「お江ってマジスゴーイ、みんなもきっとそう思うはず」と信じ込んでしまうんだろう。


 それにしてもまずいな。再来年は『天地人』以上の地雷が見えるぞ。直江兼続とちがってなまじ江は、淀の妹だし春日局関連で、NHKが思っている以上に視聴者はさすがに知識があるだろう(『天地人』もだがな〜)。
 しかも原作すらない。
 こりゃ惨劇の予感だ。春日局との対立を下手に美化なんかしちゃうとどうなることやらだ。

 まあ、終盤のクライマックスは大河の暗黒面におちた秀忠が、国千代をゴリ押しするのをお江様が決死の覚悟で止めることだろうな。伊勢の抜け参りを阿福のかわりにして竹千代こそ跡継ぎに! なーんてことやらかすんだろう。明智光秀縁者として、これまた大河の暗黒(ry な阿福も、最初はいやな女だったけどお江様のフォースによって白くなって輝きだすとか。いっそ燃えさかる大坂城に覚悟の突撃をして、真田幸村を説得して我が子・千姫を救出するとかどうだろうか。

 ま、再来年。
 最上もますます関係ないし、私は見ないけどね。大河撃沈を楽しみにしていることとしよう。

 あと最後に。
 かつて女性は名前で呼ばれず、「****の母」、「++++家の娘」という通称しかつたわらなかった。紫式部すら本名不明だ。
 そういう状況を女性は耐えぬきやっと名前と業績を認められるようになった。そこには苦闘の歴史がある。
 なのに今さらこの平成になってまた歴史上の女性を誰それの係累としていきなりもちあげ「キャッセレブ〜」とはなにごとだ。フェミニズムをナメるな! 歴史を侮辱するのもそのあたりにしろ!

江(ごう)―姫たちの戦国〈上〉江(ごう)―姫たちの戦国〈上〉
(2009/10)
田渕 久美子

商品詳細を見る

フォアマン&フィリップス『ナイルの海戦』

 一将功なりて万骨枯るという言葉を、ブリュイ提督に聞かせたらどんな顔をするだろうかと私は考えております。ナポレオン被害者の会にフランス軍人として初期に加えられるであろう、生真面目な海軍提督。ナポレオンとネルソンという二大英雄の影に隠れた悲運の名将――彼は決して愚将ではありません。
(画像はすべて『ナポレオン 獅子の時代』より)


 1798年8月1日、若き司令官ナポレオンの東方遠征艦隊はエジプトナイルのアブナキール湾におりました。そこで起きた大勝利と大惨劇、それが本書であつかう空前絶後の戦いです。くわしくはこのあたりを。

 さてフランス海軍はこのころ……
「そんなことを言うならあなたが勝つシナリオを考えて見て下さいよ、絶望しかそこにない悪夢のナイル海戦、フランス艦隊の状況」
・水兵の大半が訓練不足で反抗的
・乗務員も搭載した物量も多すぎる
・ボナパルト司令官が食糧や水を届けてくれない! 沿岸であさるほかない
・司令官は金もくれない
・水兵の大半が赤痢他病にかかっている
・防衛上不安だから他の地点にいきたいと司令官に頼んでも、「やだ、オレが使うからおまえらそこにいろ。相手が圧倒的多数じゃなきゃ現場放棄禁止な」
・世界一の英国海軍、最強最凶最狂の男ネルソンが血眼でこちらに向かってくる

nile01
 ブリュイの表情はつくづく秀逸。どのコマも素晴らしい! 哀愁と覚悟がただよっている! 12巻裏表紙もすんばらしい! ナポ主役でブリュイ提督をこれだけ大きくあつかうってすごい! 髪型といい服装といい、ネルソンに似ているけど一目でちがうとわかるのがさすが。

 それでもフランスのブリュイ提督は最善を尽くしました。
 貴族にうまれ、若くして海軍入りしたブリュイ提督は当時フランス最高の海軍指揮官といっていいと思います。革命当時は貴族であったため軍籍を剥奪され、友人知人の多くがギロチンで殺され、亡命する貴族が多いにもかかわらず祖国にとどまりました。
 彼の不幸は革命の寵児といえる生意気な若僧、ナポレオン・ボナパルトの狂った野望にまきこまれてから始まったといえるでしょう。陸戦では天才的才知を見せる彼も海となるとド素人(これは逆にするとネルソンにあてはまる)。兵粮がないなら相手から奪えばいいじゃない、という戦略はイタリア戦線ではよかったけど、海じゃそんなの無理ですよ……。
 こんな狂乱のさなかでむしろあそこまで士気を保った彼は素晴らしい。ブリュイ提督がネルソン提督みたいなぶっとんだタイプならまだしもマシだったんでしょうけど、根がまじめなだけに(ネルソンは見えないほうの目で望遠鏡をのぞいて「アレ!? おかしいぞ、ナニも見えない」とボケをかまして気に入らない信号を無視したことがある)
 それどころか彼の巧みな進路変更のおかげで、ナポレオン一行はエジプトにたどりつけたというのに。もっと評価すべき英雄、それがブリュイ提督でしょう。

nile02
 はせがー先生絵は肖像画より凶悪で活発な顔だちだけど、おすましした肖像画より動けばこちらのほうが似ているんじゃないかと思わせますな。あの濃いキャラクターの中でも屈指のあつくるしさとハイテンションで、怖い。けどなんだかかわいいぞ。

 一方で炎の提督ネルソン。英国人の大好きな海軍の大英雄です。空爆という戦術がうまれるまで、英国人は「それでも海軍が、海軍がきっとなんとかしてくれる」と思っておりました。ゆえに海軍大好き。ネルソンのあまりにせっかちな性格は、同じ軍人でも陸軍では出世できなかったのではと思わせます。そこがナポレオンとのちがいか? ナポレオンはどこででも出世しそうなかんじ。いや、海軍以外の進路を選んだらぱっとしなかったのではとすら思えてきてしまう。
 その思い込んだら一直線が、のちに私生活で悪いほうへ発揮されてしまうんですがね〜。

「勝手に架空ネルソンインタビュー」
―御両親との思い出は?
「父は牧師です、だから私も信仰心はあついんです。部下には読めなくても聖書を携帯しろと言い聞かせていますよ。そうそう、船にも牧師を乗せています。母は私が幼いころに亡くなりましたが、そうですねえ……フランスが大嫌いだったのを覚えています。ええ、ともかく嫌いでした。英国人なら当然ですけれどもね!」

―不発のマスケット銃で白クマにたちむかったそうですが。怖くありませんでしたか。
「……怖いっていう感覚がよくわからないんですよね(笑)」

―フランスに数ヶ月滞在したことがおありとか。肌にあわなかったのでしょうか?
「フランスでわかったことはただひとつです。それはフランス人は悪魔だとういうことですね」

―悪魔ですか!?
「神の教えを守らずに国王陛下の首を刎ねて喜ぶなんて、悪魔じゃなければ何だと言うんです!? 私は一心不乱に神も王室も敬っていますから」

―若いころは小さな船しか率いていなくてもフランス艦を襲撃したそうですが。
「私の任務はなるべく多くの、悪魔ののった船を沈めることですから。目の前にいたら襲うしかありません」

―部下の皆さんから慕われているそうですね。
「ええ、私は部下のひとりひとりまで大好きなんですよ。海の上では皆兄弟です」

―今回のボナパルト追撃への自信のほどは?
「殲滅しかありえません。セント・ヴィンセント伯は最高の艦隊を用意してくだっています。これなら充分に悪魔を海の藻屑にかえる我が悲願が叶おうというものです! 首を洗って待っていろ、フランス人どもめ!」

―ありがとうございました。

 ホレスさんはチャーミングだ。海にいるとき限定かもしれんけど。

 まあおちゃらけてますが、ネルソンはなんかこう……怖いですね。好きなんだけど絶対に敵に回したくないというか。陸の上でダヴーにあうより、海の上でネルソンにあうほうがやだ。

 さて、ろくに戦闘もできないところに悪夢の提督・ネルソンがつっこんできます。フフランス海軍はオーソドックスな縦列を組んでいました。地形もわからぬ湾で座礁の危険までおかして戦うまいと思っていたブリュイですが、ネルソンはこう言い切ります。

「今すぐフランス艦隊を襲う、今すぐに!」
 
 しかも先頭をいくゼラス号は追い風のふくまま、なんと湾側、すなわち陸地側にすべりこみます。英国海軍おそるべし! 左右から挟まれ、しかも左側は荷物だらけで砲弾もろくに撃てないフランス艦隊はたちまちこんなことに……!

nile03

 逃げ場がないところに大砲がどんどんとんでくる。数分で艦内は血と肉塊だらけに。逃げ場なんてない海戦、なんとおそろしい。それでも暗闇の中にいて戦況がわからないせいか、ブリュイ以下責任感が強いものばかりが揃っていたのか、粘るフランス海軍。なんと先頭は日付をまたいで行われます。

 ブリュイ提督は頭部負傷、両脚喪失のあとも椅子に座り凄まじい闘志を見せ、指揮を続けます。

「フランスの提督は後甲板で死ぬものだ!」

トナン号のデュプティ=トゥアール艦長は両腕と片脚を失いながらも、失血死までふすま桶で体を固定して戦い続けました。
 ネルソンも流れ弾が額をかすめ負傷。「わあもうだめ、オレ死ぬ!」とパニックになるも、幸い軽傷でした。このとき、ネルソンは医務室で「こういうとき階級は関係ない、勇者とともに順番を待つ」と列にならびナイスガイぶりを発揮しますが、医師のほうがすっとんできて治療したそうです。

 フランスの奮闘のあいだ、英国海軍の容赦ない戦術が襲います。オリアン号では火災が発生(ペンキの片付け忘れとのこと。このへんも訓練不足がたたったか)。英国側は消火しようと火に近づく相手を次々と狙撃し倒します。燃え上がる炎、わずかに残った生存者は全裸で海に飛び込みます。服はすでに炎熱で燃えていたのでした。
 周辺の船は緊急避難をしますが、接近しすぎたスィフトショア号(英)は断念。かえってべったりとオリアンに接近し、船首を落下物よけに利用しました。船のタールが熱でとけるほどでしたが、この作戦は成功。なんという現場判断!

 そしてついにそのときがおとずれます。

nile04

 午後十時、オリアン轟沈!!!

 その後のフランス艦隊はねばりますが、もはや勝敗は決しています。数隻の逃亡船も捕獲され、史上初の艦隊殲滅というおそるべき勝敗がここに決したのです。
 本書ではこのとき海中に沈んだ遺品(サーベル、フラスコ、靴底、金貨)の海中発掘の写真が多数あり、圧巻です。

 えー。
 くどいようですがブリュイ提督はベストを尽くしました。ところが報告書で嘘をつきまくるボナパルト司令官は「オレはヤバイって言ったんですけど、ブリュイがきかなくてさ。ブリュイのせいで艦隊全滅しちゃった」と本国に報告……このせいでブリュイはふさわしからぬ"愚将"という悪名がへばりつくことになるのでした。

 ……やはりナポレオンは好きになれん……配下には好きな人いっぱいいるんだが。


 本書はこのナイル海戦を、ナポレオンとネルソン、それにブリュイ提督の簡易伝をふくめて追った興味深い一冊です(翻訳にちょっと難ありですが)。

ナイルの海戦―ナポレオンとネルソンナイルの海戦―ナポレオンとネルソン
(2000/05)
ローラ フォアマンエレン・ブルー フィリップス

商品詳細を見る


 私が本書を手にしたきっかえけは『ナポレオン 獅子の時代』11巻、12巻です。この決戦は長谷川マジック少なめ、史実重視ですが迫力満点! 漫画の利点をいかしてわかりやすく、大迫力で描いております。決戦シーンでは本作中ベストスリーにはまちがいなく入るんじゃないかと。
 本書を読んでますます細かい描写が凝っているんだと感動。あわせて読むことをオススメします。

最上日記377「家康焦る」

あらすじ: 家康焦ってます。

テキスポ「焦燥(三)」
FC2 7の77

 家康が三成を関ヶ原に誘導した説は、権現神話にすぎないようです。実際は三成主導であったため、布陣は西軍にとって完璧なものとなっています。
 また家康が野戦の名人というのも神話ではないかと。家康のようなタイプは得意戦法を持たないのではないかと思います。それは彼が戦闘指揮官として劣るということではなく、得意戦法でも繰り返せば敵に察知されやすく失敗がふえ、陳腐なものとなると現実的にみていたからでしょう。得意戦法に固執して失敗するよりも、地形や相手の出方を見て変更するほうがよりよい作戦が遂行できるでしょう。本文中でもにおわせてありますが、そういう意味でいくと己が成功した水攻めに固執したり、派手な演出が好きだった秀吉は、参謀抜きでは指揮官としても陳腐だと個人的には辛い点をつけたくなります。もっとも類い希な成功が彼を変えてしまったのかも知れません(ナポレオンあたりもこの傾向がある)。

『ナポレオン 獅子の時代』は硬派だけど硬いだけじゃない

 mixiでこの作品を買おうか迷っているひとがいたのでイチオシ。

 本作のいいところは、序盤はギロチン祭り、そして中盤以降は戦争、戦争、戦争、戦争、陸で海でイタリアでナイルでどこでも戦争イヤッホウという、ともかく戦争てんこもりのところであります。

 思えば「赤壁の戦い」なのに、都督夫人がでしゃばるシーンが長々と続く映画だの、戦国時代が舞台なのに合戦をナレーションですませるだけのドラマだのが幅を利かせるこの時代。リップグロスつやつやの女戦士が埃だらけの戦場でよごれひとつつかずに駆け巡り、武将のくせにほそっちいジャニ面がにやける。将軍が敵に情けをかけた結果味方がボコられるのを美談にする。そういったアホ作品がでしゃばる昨今。
 ここまで戦争だらけのエンタメはそうはない、と断言できます。敵は容赦なくブチ殺し、報告書は嘘塗れ、弱り目に祟り目、食い物ないなら奪え、女もついでにやっちまえ……おお、なんということだ。

 戦争を描くのは厄介です。
 資料をあつめ、戦略を考察し、血肉がふっとぶグロテスクさとむきあわねばならない。軍服や兵器だって描くのめんどくせーとなりそう。海戦となればロープからみあう難しい帆船(しかもデッサンがくるうとあの優美な曲線が台無しだ)をてんこもりにしなければならない。時代考証、その他もろもろ……掠奪強姦虐殺をどう誤魔化すか!?

 なんていうのを全部クリアしているのが凄い。『レッドクリフ』だの『天地人』だのふにゃけたものにうんざりしたなら今すぐ買うべきだ! かくいう私もこのへんの作品にあきあきだったので、本作を読んでぶっとんでハイテンションになっています。毎日読み返さないと駄目だもう。

 本作に出てくる武将も兵士も臭そうです。実際臭いと明言されている人物もいます。ハゲ肖像画が残る人物は毛なんかむろんありません(そんなダヴー元帥主役の外伝タイトルは 「 禿 鬼 」)。皆マッチョです(ナポレオンやネルソンは虚弱体質ゆえかガリガリだが)。女やカネに汚かったり、馬上じゃないと脳みそ空っぽと言われたりします。絶叫しながら民間人をゴスゴス殴ったり、虫の幼虫を食べたり、石鹸カッターで敵を惨殺しながら掠奪の限りを尽くしたり、乳首にはえた毛がドアップになったり、白クマさんの幻影相手にブツブツつぶやいたり、ともかく曲者しかいません。戦場だからそれでいいんだ。レキジョ向けのイケメン武将なんざ知らん! という突き放しぶりなんだ(でもランヌやダヴー!? は女性ファンも多いと思うぞ)。

 ロマンスはおまけです、ジョセフィーヌなんてチーズ臭ければいいんですよ! 
 本作の恋愛要素は虚しい。遠征中に女房オレが父親じゃない子供産んだってよチクショオ、とか。ふられて悲しいよううわーん、男装愛人とナニしてたら敵襲うけて全裸全力疾走とか。
 本来戦闘男のロマンスなんでそんくらいでいいんだよ! 畜生。
 
 初期の80年代ジャンプ黄金期を思わせる絵といい、本作はこの時代に存在するほうが希有です。ゆえにマイナーにとどまるかもしれませんが、むせかえるほどの戦闘マニアなら是非読むべきかと。
 ジョン・ウーすら男を捨てたこの暗黒時代、でもいいじゃないか、これぞ最後の砦ですよ!

 あと政治家なのに車椅子に爆薬仕掛けてあばれる人とか、革命ゆえにDT力を発揮するロベスピエールとか、死んだはずだよサン=ジェストとか、カルノーなのにカルノーなのに仕込み刃とか、フランス人は全員そのあれなんだ、ミュータントかよとつっこみたくなるくらいすさまじい展開もむろん注目です。

 一コマ一コマ保存したくなるような絵もすき。ロディ、ナイル海戦とか最高。最近は男女ともに色気のある顔になってますますいいかんじです。しかもランヌとかネルソンとか濃い顔なのになんかかわいいし。しかも肖像画に似ているし、人物の内面性まで顔に出すんだからすごい。ベルナドットのあのうさんくさい顔とか最高すぎる。

ナポレオン獅子の時代 2 (ヤングキングコミックス)ナポレオン獅子の時代 2 (ヤングキングコミックス)
(2004/06/28)
長谷川 哲也

商品詳細を見る

左サイドMenu

FC2ブログをはじめよう ▼

マジっすか!? ▼

最近の記事 ▼

Ads by Google ▼

右サイドメニュー