Entries

最上日記348「高台院」

はくす。
 因果応報、そうですね。既に秀次妻子処刑時に「因果はめぐるぞ」と落首があったそうですから。ただし個人的には秀秋より秀吉のほうがもっともっと因果だと断定されていいんだけども。
 あ、沢庵さんはあとで出てくるんでそのときまでお待ち下さい。
 友情という概念がない、というのは結構聞くけどなんなんだろう。Friendshipの訳語はなくとも、義兄弟とか連帯感とか、そういうのは文化や時代を問わず普遍的にあると思うんですよね。あとこれは脚本家の笠原和夫さんのことばだったか、ほんとうにかんじのわるいひとがリーダーや外交役を任されることはない、と。三成がそんな仏頂面のいやみなだけの奴だったら、外交をまかされて諸大名とうまくできたとは思えないんですよね。
 そんな彼の出番も来週いっぱいの予定です……。

あらすじ: 高台院となった彼女のその後。清正らとの関係もあるよ。

テキスポ「嘆きの母(三)」
FC2 7の174

 高台院は実際いったことありますが、女性向けにつくられていてとてもステキなお寺だったなあ、と。

テレビドラマ『炎の英雄シャープ』第五話「失われた名誉」

 1813年夏、ウェリントン将軍はフランスのスールト元帥との決戦を目前に控えていた。この決戦を制し、ピレネーを越えてフランスになだれ込むことこそ英国軍の悲願なのだ。
 ところがそんな将軍の気持ちなんざ知らぬといいたげな部下たち。シャープのサウスエセックス隊ではロッド軍曹が掠奪品を持って脱走。シャープは配下の一人が鶏をぶらさげていたところを憲兵隊に見つかり、もめた末なんと絞首刑にされてしまう。憲兵隊のエアーズ中尉とシャープは険悪な仲に。ウェリントンもやりすぎの憲兵隊とシャープの強情さに頭を痛める。掠奪阻止のためとはいえ、ねえ。
 そんな間の悪いところへ、母娘二人連れが到着する。ウェリントン将軍にいとこであるベス・エージェントと娘のエリーだ。半島で消息をたった夫を捜しに来たというが、決戦を前にしたウェリントンは面倒を見ている暇はない。またあやしげなゲリラ軍団、埋蔵金の噂等、きなくささがどこかただようことになる……。

● うわーウェリントンかわいそう……。
「ナポレオンがうらやましい、奴は負け犬でも部下は優秀だ! うちの部下は掠奪とレイプばっか!」
 と酒をあおりながら言う姿は哀愁に満ちています。どいつもこいつも空気読めよ!(含シャープ)いやだってスールト相手の勝負前にほんとうになんなんだ。このドラマでは終始一貫して英国軍が駄目過ぎるよ。それを赤裸々に描くから英国人はしぶとくて強いんだと思う。ひとも国も反省するとそこから材料ひろって強くなるからなあ。
 あ、ウェリントン将軍といえばパーティで珍しくレッドコートを着ていましたね。彼はナポレオンの地味コートと同じく、普段は目立たない紺色のコート姿です。ちなみにネルソン提督は戦闘中でも勲章をぴかぴか光らせていて、狙撃の的となり戦死しています。「半島に天才は一人で充分だ(ニヤリ)」はかっこよかったなあ。

● さて、シャープですが。
 砂色の髪に蒼い瞳、苦み走った容貌にかっこいいグリーンジャケットを着込み、美声の持ち主、しかも紳士的で最強☆となればそりゃ女ホイホイですよ。階級もあがって、射撃メインだから目立たない程度とはいえ装飾のついた軍服のかっこよさったら。そんなわけで前回の侯爵夫人に続き、エリーお嬢様もターゲットロックオンです。侯爵夫人はすれっからしだからいいものの、今回のウブなおねえちゃん籠絡作戦にはエアーズ中尉でなくとも「貴方はまちがってます!」と言いたくなるよなあ〜……でも無茶苦茶カッコイイんだよなあ、そりゃもう反則級に。
 
 今回はパルチザンとのライフルとの捕虜交換にニュージェント母娘のお守りが任務です。ところがこのパルチザンがアステカ文明を信仰する危険思想の持ち主らしい。なんだか途中でインディ・ジョーンズみたいなのりになります。そしてこんなもんテレビで流すな級のショッキング映像が!
 毎回どうしてこうなったとつぶやきたくなるほど二転三転するドラマですが、今回はまいった。
 あと選ばれし者がどんどん強くなっていきます。フランス兵やパルチザン十名に匹敵するくらいです。見敵必殺っぷりがすばらしい。中でもハーパーの女房役がいいかんじだー。

● さて今回はパルチザンが一番残虐非道でした。
 こういうカルト集団がいたかは調べていないのでわかりませんが、劇中台詞でもあったように生きたまま女を釘打ちするというのはあったようです。標的になったのはフランス軍付き酒保女(戦場につきそい、酒や食品を売る女商売人をさす)など。将校夫人なんかはなかなか捕まりませんし、それなりの対応を期待できます。が、下っ端の彼女らはゲリラにつかまったら教会の扉などに打ち付けられ殺されたそうです。ゲリラとすれば女子供を殺すフランス軍への報復というわけです。兵士の殺し方も残虐になります。それに対抗する兵士のゲリラ殺害方法も過激になります。首を落とす、手足を切断する、死体を内臓をみせつかながら樹木につるす……といった凄惨な手段が増えてまさしくスペインは地獄と化しました。このあたりの残酷な風景はゴヤが絵画に残しております。ヨーロッパの場合、近代以前は身分ある敵は殺すより捕虜として、身代金をせしめたほうが儲かりました。また王族同士は親族関係にありました。そうしたことから軍人同士の戦いでは騎士道精神が発揮され、残虐行為にもある程度歯止めがかかったものです。
 が、フランスの身分に関係ない徴兵制度やスペインの民衆蜂起はこうした古きよき伝統を破壊しました。シャープのいる戦場は、まさしく近代総力戦への第一歩がきざまれたその場所であったのです。

 
炎の英雄 シャープ DVD-BOX 1炎の英雄 シャープ DVD-BOX 1
(2006/02/24)
ショーン・ビーンブライアン・コックス

商品詳細を見る

最上日記347"Last Resort"

あらすじ: 北政所と秀秋そのご。

テキスポ「嘆きの母(二)」
FC2 7の171-172

 昨日の補足。三成正室は佐和山城で自害が通説ですが、大坂城自害説もあります。ただし大坂城で三成処刑後に自害となると、家康入城後もいたのかと疑問におもったのでちょっと改変してます。

 秀秋の死因は急所蹴りから祟り説までいろいろありますが、同月に兄弟死亡となると毒殺もありえるかなと思ったり。清正なんかは勝手にフォローされて暗殺にされとっていいよなァ! 秀秋のほうが臭いのに急所蹴りですよ_| ̄|○
 ただしアル中も可能性としては高いですね。
 今はストレスの時代なんていうけど、文献を見ていくと昔からストレスや鬱で体調不良になる人は多かったのだ。もののけとか祟り、狐憑きなんてされちゃったりしただけで。

皇后ジョゼフィーヌ

josephine

 女性からは「ジョゼフィーヌって肖像画見てもイマイチよね。どうしてあんな女が?」と言わたりするが、熱心なファンの男性からは「ジョゼフィーヌの魅力は絵じゃ伝わらないね。あー動く彼女が見たいよ! 彼女の魅力は見た目じゃないんだ、仕草とか官能だよ〜〜〜!」とかフォローされる。見えない彼女の魅力はナポレオンが余計なことまでベラベラとしゃべっているので探せばなんとなくわかる……だからこそ男性は彼女にご執心なのだ。というわけで、同性が彼女から学べるところは多い(たぶん)。

 画像は長谷川哲也先生『ナポレオン 獅子の時代』より。ナポレオンとジョゼフィーヌ。戦争は丁寧な本作だが、ジョゼフィーヌやナポの色恋関連は簡略化する傾向がある。ジョゼフィーヌは最もわりをくった人物、といえるかも。



 夫ナポレオンの熱愛にもかかわらず、愛人と逢瀬を繰り返し、ボナパルト家の面々からは嫌われ、浪費癖を持つ。悪妻の典型ともいえる彼女ですが、ナポレオンが愛した女性では頭ひとつ抜けておもしろいと感じます。


『獅子の時代』の彼女しか知らない人へのフォロ−。

・投獄理由は知人や冷たくあしらって離婚をつきつけた夫の助命嘆願のため。人脈をいかして彼女はギロチンから何人か救い出したのだ
・タリアン夫人と知り合うのは実際は牢獄から出てから。ただし獄舎は隣同士
・旦那さんが亡くなったばかりというタリアン夫人の台詞があるが、離婚成立して何年も経過しているので旦那といってもそういう関係である
・オッシュと獄中恋愛しているが、これは実はよくあることであり、ジョゼフィーヌの前夫も獄中で愛人を作っていた
・オッシュとは史実では釈放後同棲していて、ジョセフィーヌが無関心になった=オッシュがフラれている
・ウージューヌと剣の話はミュラがぶったぎるとかはたぶん創作だが、史実通り
・ジョセフィーヌとナポは結婚前から関係している
・結婚式前、ナポが遅刻した時ジョゼフィーヌは泣きべそをかいていた
・実際のシャルルはイタリア戦役中に軍籍を剥奪されている
・ジョゼフィーヌはエジプト遠征についていくつもりだったのだが、療養地の温泉で事故にあい大怪我して、ついていけなくなった
・一応、ナポレオンを愛しているという手紙をエジプト遠征前に書いている
・ウージューヌへの態度はあそこまで冷たくない

 確かに軽薄な面が大きいけど(イタリア遠征の時は)、ただのアーパー女ではないのです。


 肖像画やバラスの悪意ある証言のせいか魅力不足だなんて言われることも多いけれど、その証言を分類していくとやっぱり独特の官能性はあっただろうなと思わせます。あと愛嬌とか雰囲気とか。まあそのなんだ、同性から一番嫌われるタイプではある。マダム・タリアンみたいな圧倒的美貌の持ち主だと、女は諦めるもんだけどジョセフィーヌタイプは「なにあの女どこがいいわけ!?」状態になるよね。
 頭がいいかどうかはわかりにくいのだけれども(フーシェに情報を的確に流していたりもする)、軽率なことはほぼ確実でしょう。目の前に楽しいことがあればそちらに目移りしていくタイプですね。趣味は園芸、手芸、後年は読書。薔薇はじめ植物に興味があり、植物学ならば講義も聴いていたようです。お勉強が得意じゃないけど、賢いタイプとみた。でもそんな知性よりも声のやさしさはじめとする雰囲気がステキなタイプだそうで。
 
 ボロばっかりだけど、なぜか魅力を感じさせるジョゼフィーヌ。彼女と別れた男が途端に駄目になっていく神秘性もおもしろいところです。あげまんとかそういうのってあるのかな、と思わせます。
 悪妻ぶりばかりが強調されますが、ナポレオンをリラックスできる環境をつくってあげたり、社交界での経験をいかして人脈形成に協力したり、はげましたりしたのは彼女。どこか幼児性のある夫を落ち着かせる役目も果たしたようです……まあ新婚当初はそんなことないけど。マリ=ルイーズは年下のぶん、夫がめんどうを見なければいけなくなってナポレオンはストレスがたまってしまった、と。結婚生活だけがむろん原因じゃありませんが、再婚してから急激に没落ルートたどっているしなあ。ネイの縁談をまとめたり、ナポレオンが離婚したら反発する部下が多かったあたり、人脈や人望もちゃんとあったのです。そう、イタリア遠征で肖像画を見せつけられて反発した猛将たちも、それを捨てるとなったら「そりゃねえよ!」となったわけだ。ジョゼフィーヌは勝利の女神と呼ばれていたたこともあるし、不吉なものを感じたのかも知れない(現にジョゼフィーヌとの別離がナポレオンの没落に直結……)。
 浪費癖があったのは事実で確かに派手好きですが、そのお金をぱーっと施しやプレゼント、人を喜ばせることにも使っていました。離婚後に過ごした場所では、沼地灌漑や女子教育のためにお金を使うこともあったのです。彼女は人を喜ばせる才能があり、それを使うためには気前よくしなければならなかった、ともいえます。バラスやボナパルト一族はボロクソに言う彼女ですが、古参の将軍たちはじめ、アレクサンドル一世まで数多くのひとびとを魅了しました。庶民的で明るく優しい彼女は、まさしく癒し系なのです。
 皮肉といえば、ボナパルト系統より彼女の系統のほうが優秀だったり、成功したりしていること。ウージューヌにせよ、オルスタンスにせよ。そりゃナポも信頼するわな。

 あと彼女宛のナポ恋文が猥褻過ぎて素晴らしい。どこに下線を引いているんだ!
 ちなみにイタリアからのナポの手紙を無視したのは、むろん面倒だからもあったけどナポがあまりに悪筆だったというのもあるそうです。この手紙に困惑するジョゼフィーヌの解釈としては、藤本先生の『皇后ジョゼフィーヌのおいしい人生』にあった「自分ではなく男の妄想の中にしかいない理想の女性宛に書いているようでいや」というのが秀逸に思えました。

 ちなみにナポレオンはジョゼフィーヌの墓にはえていたスミレ(ナポレオンお気に入りの花)をロケットにいれ、死ぬまで持ち歩いていたそうな。セントヘレナでもほんとうの女はジョゼフィーヌと述べています。

恋するジョゼフィーヌ―ナポレオンとの愛 (1982年)恋するジョゼフィーヌ―ナポレオンとの愛 (1982年)
(1982/07)
ジャック・ジャンサン

商品詳細を見る


ジョゼフィーヌ―革命が生んだ皇后ジョゼフィーヌ―革命が生んだ皇后
(1989/06)
安達 正勝

商品詳細を見る


 藤本ひとみ『ナポレオンの宝剣』はロシア遠征前夜、ジョゼフィーヌとナポレオンが1805年から今までを振り返るかたちの小説です。藤本さんはジョセフィーヌが嫌いなんだろうか、なんだか悪意に満ちた誇張も多いので要注意。特に『皇后ジョゼフィーヌのおいしい人生』は創作が多めです。

ナポレオンの宝剣 愛と戦いナポレオンの宝剣 愛と戦い
(2009/09)
藤本 ひとみ

商品詳細を見る


皇后ジョゼフィーヌのおいしい人生皇后ジョゼフィーヌのおいしい人生
(2008/05)
藤本 ひとみ

商品詳細を見る


皇帝を惑わせた女たち (角川文庫)皇帝を惑わせた女たち (角川文庫)
(2007/09/25)
藤本 ひとみ

商品詳細を見る
*CommentList

最上日記346「女たちの関ヶ原代理戦争」

あらすじ: 三成妻子、その後。

テキスポ「嘆きの母(一)」
FC2 7の169-170

 三成妻子のその後です。
 ぎゃー最近書くのすごくつかれるー。

P・オブライエン『ボストン沖、決死の脱出行』上下

>ミスト

 近日中によみまする。

ミストスピリット 1―霧のうつし身 (ハヤカワ文庫 FT サ 1-6)ミストスピリット 1―霧のうつし身 (ハヤカワ文庫 FT サ 1-6)
(2010/02/10)
ブランドン・サンダースン

商品詳細を見る


 レパード号はやっとオーストラリアへ囚人を届けたものの、沈没寸前の哀れな姿に。東南アジアからラ・フレシュ号に乗り帰国をめざすオーブリーとマチュリンだが……あれ、なんでタイトルがボストン!? 

● 前巻から呪われているのかと思うほど災難続きの艦長と軍医。今度は火災と戦闘敗北です。フランスのみならずアメリカと戦端が開かれたため、新たな敵まで増えてしまいます。英国海軍は連戦連敗、オーブリーも凹み気味。対仏西を想定してきたネルソン流戦闘術も過去のものになってしまうのか?! 二人の乗ったジャワ号も敗北、ボストンに連行されてしまいます。
 ちなみに本作は史実にある戦闘のあいまに主人公一行を送り込む、なかなか手の込んだものです。

● 本作は陸上メインのためか、艦長より軍医無双、軍医ミッションインポッシブル! そうとなればヒロインであるあのひとも再登場せねばなりません。形代ともいえるルイーズ・ウォーガンが登場した前作にも、影のように出てきたダイアナ・ビリャーズ、満を持して登場!(けど彼女とソフィーってなんだか巻を追うごとに年齢設定がズレている気がする) アメリカ人大富豪の愛人となっている彼女ですが、好色な恋人はあろうことかルイーズに色目をつかい、相手もまんざらではない様子。ダイアナはマチュリンに再接近しますがなんとここで彼が出した策は、
「ぼくの妻として祖国に戻ればいい」
 形式上の夫婦でかまわない、と付け加える草食系っぷりですが(とほほ)。
 ちなみにこうした間オーブリーは病院で怪我の治療中です。でも陸にあがれば冴えない海の男。しかも軽率な彼は正直黙っていた方がいいかもしれません。というのも、諜報員としてのマチュリンを狙ってフランス側も策動を始めたからです。軍医あやうし! かくして始まるマチュリン大活躍であります。彼とダイアナが中心で艦長はオマケ、と思っていたら最後に活躍はありますが。そうはいってもやはり今回はマチュリン主人公の巻です。ダイアナもいきいききびきびとしていて、マチュリンはすれた様子にはじめこそ「もう昔の彼女じゃない、いまだにぼくは彼女を愛しているのか!?」なんて自問自答モードでしたが、すっかり夢中になっていきます。でも船酔いの正体がなあ……。
 海のみならず陸でも楽しい、二粒で二度おいしく建国当初のアメリカ像もわかる本作。やっぱりおもしろいぞ!

ボストン沖、決死の脱出行 (上) (ハヤカワ文庫 NV)ボストン沖、決死の脱出行 (上) (ハヤカワ文庫 NV)
(2005/09/22)
パトリック・オブライアン

商品詳細を見る


ボストン沖、決死の脱出行 (下) (ハヤカワ文庫 NV)ボストン沖、決死の脱出行 (下) (ハヤカワ文庫 NV)
(2005/09/22)
パトリック・オブライアン

商品詳細を見る

映画『インビクタス 負けざる者たち』

公式サイト

 1995年、ラグビーワールドカップ主催国となった南アフリカ共和国。アパルトヘイトが終わり、ネルソン・マンデラが大統領となって新たに歩み始めたばかりである。この国ではラグビーは白人のスポーツで人気がない。ユニフォームの色はアパルトヘイトを連想させる。ネルソン・マンデラ大統領はこれを逆にいかし、黒人と白人の宥和がはかれないかと考える。

● またイーストウッドですよ、どんだけペースが速いんだ! いやいやそれってこのうえない幸福ではあります。
 今回はよくもわるくも直球、ひねりがない。スポーツ感動ものです。イーストウッドの魅力は何をとっても素晴らしくしてしまうところと、観客にある程度判断をゆだねる余地があって押しつけがましくないところです。オラオラ感動しろよと押しつけてくるところがないのがいい。

 それにしてもモーガン・フリーマンにはまいった。
 出てくるだけで涙腺がうるうるしちゃうほどの存在感。でもそれを彼の演技力だけではなく、秘書やSPたちが彼を見る尊敬のまなざしで表現するのが流石です。マンデラの凄さはさりげない優しさや気配りで、お茶を運んでくるメイドさんにもものすごく丁寧に御礼を言う。その低姿勢と丁寧な態度が彼の根底にあるから、すごいわけです。立場や何かで相手を見ないところ。それがマンデラの偉大さなのです。

 それにしても。ネルソン・マンデラの台詞のすごさときたら。オーブリーシリーズにあった、
「他の奴が言ったら気障だと思うだろうけど、ネルソンが言うと違うんだ。感動して胸があつくなる」
 という一節を思い出しましたよ。


 SPがマンデラはどういう人かと聞かれたとき、
「前の大統領のとき、私は透明な存在でした。でも今の大統領は私の好みを知っていて、イギリスでキャンディを土産に買って来てくれる。そういう人なんです」
 と返答する。こういうことなんです。相手を認めてさりげなく優しさを実現する(紳士的で丁寧なフリーマンのいぶし銀演技がまたいい!)。彼がラグビーチームに対して与える支援もそれなんです。そして彼はラグビーで国民を結びつけることこそが、このうえないプレゼントだと思い実行したわけです。リーダーというと、ぐいぐい引っ張る人物が理想と思いがちだけど、マンデラは皆とともに互いの顔を見ながらあゆんでゆく人なんですな。こういうのをすっと自然に演出するのがイーストウッドのうまさです。

 本作はラグビーを描く必要があるため、ネルソンがどういう人物であったか、過去はどんな経験があったかはほぼ触れられていません。が、わからないわけではない。ほんの少しだけの描写、ラグビーチームが刑務所を訪れるシーン等で表現します。目線や丸めた背中、詩を朗読する声音だけで苦難を表現するフリーマン、流石です。

● さんざん監督とフリーマンばかり褒めていますが、ラガーマンらしくビルドアップしてきたマット・デイモンはじめ、脇役はいないのではないかと思えるほど皆輝いています。表情がともかく素晴らしい! 秘書、対立していたSPチーム、下見バッチリの機長、タクシー運転手と黒人少年、酒場でビールを飲みながら試合を見守る人々、皆いきいきした顔で見ていてうれしくなってくるほど。ピナールさんちのメイドさんがチケットをもらって笑顔になるところ、SPが試合後に白人から抱きつかれてとまどっている場面なんか、ほんとうに感動してもううまく感想書けません!
 決勝戦の熱気たるや、まるでスタジアムに自分がいるかと錯覚してしまいそうです。ラグビーなんてルールも知らないのにどっぷりはまってしまう。ほんとうにすごい! エンドロールもいい。

 イーストウッドにはずれなし。前二作とちがった堂々の王道作品ですが、またも傑作です。映画館でみたほうが熱狂が伝わるのでオススメです。

インビクタス/負けざる者たち (クリント・イーストウッド 監督) [DVD]インビクタス/負けざる者たち (クリント・イーストウッド 監督) [DVD]
()
不明

商品詳細を見る


インビクタス〜負けざる者たちインビクタス〜負けざる者たち
(2009/12/21)
ジョン カーリン

商品詳細を見る

J・ケアリー『クシエルの使徒1 深紅の衣』

>はくす。
 ああ、彼の地出身がらみの物書きはなんか取り憑かれちまったようなのいますからね、フォースの戊辰面に墜ちた人々は無視して下さい。ジェダイでも赤いライトセーバーはまれなように、そんな奴はなかなかいないはずです。

>晩餐
 まあモニカ様も『シューテムアップ』で母乳プレイ専門娼婦で合体銃撃戦を喜々として演じたような人だから立派なへんたry

 怒濤のSMファンタジー第二部。
 ドS女貴族メリサンド様に逃亡されてしまったドM美女フェードル。前巻ではめでたく貴族になるものの、メリサンドの陰謀阻止のためには、都に戻らねば情報も集まらない。それはすなわち、ナーマー様のご奉仕のため神娼に戻るということであった。恋人のジョスランは当然反発するが……。

● ファンの方には申し訳ないけど、ジョスランが嫌いになりそうです。なんでこいつこんなにうじうじしてんのー!? そりゃ恋人がそういうのに戻るのは嬉しいわけがないけれども、フェードルはそういう存在とわかってたんじゃないのかな。チクチクチクチク嫌味で狭量な男これにあり、ってかんじに見えてきてイライラ。
 ただしフェードルに魅力あるかと言われると、メアリー・スー臭が鼻につくし特殊な性癖を持ちすぎていて、まるっきり感情移入はできません。官能シーンは多いけど、鞭でビシバシひたすらご奉仕にはついていけん〜……。アニタ・ブレイクやティンカーもなんだけど、女性作家の主人公は時折作者の理想が過度にはいりこんで、魅力減退する場合があって要注意ですね。例外もたくさんあるけれども。
 本作はキャラクターの魅力では読ませないと思います。フェードルだけではなく出てくる人物皆ほぼ美形といっていい世界観だけど、かえってそれが薄っぺらくて。アン・ライスと同じ苦しさがある……ライスのレスタトが魅力なのは美形なのもあるけど、それ以上に不老不死で中二病なところだと思うんだけどなあ〜。美形なら萌える! というものではなくて、にじみ出る人間性や個性でひきこまないとなあ、と。『氷炎』と比べるといっそう際立ちます。アレは主要キャラが肉体欠損してから本格スタートというある意味困った作品ですが。

 これもアン・ライスと同じなんだけど、装飾過多な美形を描く文章もごてごてして胸にもたれるんだよね〜。

● そこまで文句たらたらで何故読むかというと、欠点は多いけどおもしろいからです。確かに完璧に近い『ミストボーン』、作者がドラマ撮影を見たりNFLにハマって途絶しそうな『氷炎』にくらべるとアレなんだけれども、作り込まれたプロットとドロドロはおもしろい。官能もギリギリやりすぎないところで止まっていて、そういうバランス感覚は絶妙なんですよ。退廃的な貴族社会を出ると一気におもしろくなる作品ですしね。第一部もそうですが、陰謀中心の一巻目はちょっとつまらないのかも。二巻目はイタリアもどき探検記になるようです。

クシエルの使徒〈1〉深紅の衣 (ハヤカワ文庫FT)クシエルの使徒〈1〉深紅の衣 (ハヤカワ文庫FT)
(2009/12/19)
ジャクリーン ケアリー

商品詳細を見る


最上日記435「さらば大坂城」

あらすじ: 淀の方と秀頼、その後。

テキスポ「大坂夢幻の陣(三)」
FC2 7の167-168

 結構気合いのはいった人物退場は、ほっとしますしプレッシャーかかります。
 淀の方は自分とまるで共通点がないうえ、女性なので描きにくくて大変でした。でも知ればしるほど、ただの馬鹿とか悪女という印象をくつがえしたくて、結構我ながらがんばったなあというかんじ。
 知ればしるほどこの時代の人はがんばっていて、馬鹿とかアホとか言えない気分になります。輝元あたりはフォロー難しいけど。
 こうして誰かを思い、書くことも供養になるかなと思う昨今。

藤本ひとみ『王妃マリー・アントワネット 青春の光と影/華やかな悲劇のすべて』/P・ガスカール『ロベスピエールの影』

はくす。
うーん、あのひとは旦那さんのほうも好きじゃないですが……あの白虎隊のは地元の高校が実行委員会もっていて行事としてやってるし、そんなキチガイじみた行事じゃないはずですがね……歴史系の行事ってそういうの多いですし。剣舞奉納とかそんなのです。たぶんくだんの女史がアホなことを書いていて誤解されているんでしょうが、そういう変なイメージでそのへんをつっこまれてももやっとくるんだよな……そういうのはあるもんですよ、イギリスでだってガイ・フォークス人形を未だに燃やすみたいなもんであって……アレを狂信的行事と思われても困りますなあ……。
 
 ふう。

 おー、あれだ。捕鯨やイルカ漁批判されたときのむっとくるかんじ。
「オージャップ野蛮ネ!」
「ってめ、伝統ある漁業になにいってんだァー!」
 みたいな。うん、それだ。

● 日本では『ベルばら』のせいか割と好意的なイメージもあるマリー・アントワネットの生涯を、藤本先生がまとめた本。前半部は浪費家で軽率、確かに賢くて慎重かつ寛大ならばここまで失態を犯さないだろうと苦々しい思いで読んでしまいます。が、制度的にもずぶずぶと腐っていた王室の空気が彼女をおいつめた部分もあるわけで、夫含めて周囲がなんとかできなかったのだろうかとも思います。せめて懐妊がもうちょっと早ければなあとか。
 後半生はもう行動をあらためてもどうしようもなかったんじゃないかな。ただでさえオーストリア出身というハンデがあったうえに、世論が中傷で固まったら何をしようと無駄だったかも。ヴァレンヌ事件とか悪あがきで失敗している面もある気がしますが。
 やっぱり革命は野蛮な面がありますねえ。

王妃マリー・アントワネット    華やかな悲劇のすべて王妃マリー・アントワネット 華やかな悲劇のすべて
(2008/07/01)
藤本 ひとみ

商品詳細を見る


● こちらは藤本先生の『聖戦ヴァンデ』で気になっていたマルク=アントワーヌ・ジュリアンの評伝。ヴァスチーユ陥落時はまだ十代前半、こどもにしか見えない童顔少年でありながら「ヴァスチーユを陥落させたことはとるにたらない! 王政を打倒せよ!」とお手製のビラを配り、最年少ジャコバン党員となりロベスピエールをキラキラとした瞳でおいかけるショタ……もといけなげな人物です。どこの貴腐人の創作だとつっこみたくなるけど実在するんだからフランス革命すごい。藤本先生の小説で読んだ時は先生が考えた架空人物かと思ってしまいましたが。
 しかしまあ二十歳前後が人生の頂点っていうのも考えものですね。若き天才ってリスキーなんだな。彼はテルミドール生存後、ナポレオンに拾われてイタリア遠征で戦報を書いたり、エジプト遠征にまでくっついていったそうです。エジプトでは病気で早々に帰還し、ナポレオン政権後は特に目立つこともなかったといいます。没年は73。

ロベスピエールの影 (叢書・ウニベルシタス)ロベスピエールの影 (叢書・ウニベルシタス)
(1985/04)
ピエール・ガスカール

商品詳細を見る

最上日記434「毛利そのあと」

あらすじ: 毛利はなぜ大坂決戦を断念したのか?

テキスポ「大坂夢幻の陣(二)」
FC2 7の166

 実は幕末もすきだ。ただし幕末の怨みをねちっこく言う会津の中でもひねこびた連中は嫌いだけどな(ヒント:筆者は会津出身)。

テレビドラマ『炎の英雄シャープ』第五話「失われた名誉」

>はくす。
英仏変態貴族対決とな!? 是非見ます!!

 1813年、スペイン。ロシア遠征で壊滅的な打撃を受けた大陸軍(グランダルメ)。ナポレオンもすっかり意気消沈している。これぞ好機とウェリントン将軍は意気込む。
 一方、前回シャープに一泡ふかせられ、眼鏡まで踏みつぶされたフランス軍のデュコー少佐は、シャープに復讐し英国軍も追い詰める妙案を思いつき、ナポレオンの裁可をあおぐ。
 デュコーの奸計により、シャープは夫人に言い寄ったとスペイン侯爵から因縁をつけられる。ブチ切れたシャープは決闘に挑むが、ネヤーンの仲介で決闘はお流れに。ところがその夜、侯爵は寝首をかかれてしまう。翌朝シャープは侯爵殺害で逮捕、なんと軍籍剥奪のうえで絞首刑とされてしまう。

● やっとフランス側の宿敵が出てきました。今までなんだかんだで、戦場以外じゃ同国人と敵対してきたもんねえ、シャープは。
 でもこのデュコーがドジっこでなあ。ネヤーンにくらべたら小物もいいところです。そもそも謀略家は小さな怨みにネチネチこだわっちゃいけません。まずデュコーがナポレオンにシャープはイーグルをタラベラで奪ったというのがセコい。おまえそれ何年前よ、と。タラベラの戦い(第二回)はナポレオンが初めてのちに彼に引導を渡す主導者となるウェリントンの脅威を意識した戦いであり、フランスにとっては屈辱的な敗北ではありましたが、もう四年前ですよ。ほんとうは眼鏡のほうが怨みに思っていたんでしょう。

 ネヤーンのほうが数段上の謀略家と書きましたが、きたない、さすがネヤーンきたないですよ! シャープを救ったようでありながら、陰謀のにおいがぷんぷんする事件もついでにやっつけてしまうわけですから。デュコーの計略は君だ相手も悪いし、あまりに強引だし、駄目なんだよなあ〜。シャープはえらい目にあうけど。
 敵を騙すにはまず味方からとばかり、シャープとハーパー、選ばれし者を使ってフランスの手を暴くわけですからね。失敗しても数名死ぬだけだからどっちに転んでもネヤーンは痛くない。ウェリントンは決戦前に話をでかくするのは望んでいないわけで、かといって敵の策略も野放しにはできない。それをクリアした実にうまいやり方です。

● そんな謀略合戦にまきこまれたシャープとハーパー。
「オレを罠に嵌めやがった侯爵夫人とやらはぶっころします!」
「まってシャープ、殺したら尋問できんから生かして連れてきなさい」
「がるるるるる……」
 こんなかんじのシャープ、しかもハーパーとだけ放り出すってネヤーンひどすぎ。当たりはフランス兵やパルチザンがうようよしています。シャープはパルチザンのリーダーに、ネヤーンは教会にあやしいものを覚えるのですが……。
 ちなみにスペインは同盟国といえども、イギリスは英国国教会、スペインはカトリック、さらに悪名高い異端審問もありますので、英国側としては教会には不信感があるものと思われます(異端審問の残虐性は映画『宮廷画家ゴヤは見た』がおすすめ)。

 それにしても、あれだけさんざん侯爵夫人に激怒していたものの、いざ出逢うと美貌にころっとしちゃうのがシャープのおちゃめさんなところかも。まあモテモテですしね。確かにかっこいいししょうがないな! 侯爵夫人マルケサは英仏ハーフで、女スパイでもあるところをみると過去はなかなか複雑だったようです。
 さてハーパージュニアもめでたく生まれますが、なんとここでシャープ、デュコーに捕まります。
「きみは私の眼鏡を壊した! 故意にだ」
 と迫るデュコー(えー)。絶対イーグルより眼鏡を根に持ってるだろ、アンタ。そんなに眼鏡が大事かあ?!

 そんなシャープの危難に駆けつける選ばれし者、回を追うごとに強くなっています。まさしくライフル隊無双、フランス軍兵士が紙のようだ(もっともこの頃になると、大陸軍は度重なる戦闘で兵士が慢性的に不足し、新兵ばかりで全体的に弱体化しています。ロシアでは軍馬も大量に死んだため、騎兵隊のダメージが特に深刻でした。それでもカバーできていたナポレオンですが……)。あっという間に敵を蹴散らし、「丘を超えて彼方へ」が流れ始めるのでした。

 ウェリントンが結構おもしろいです。常に仏頂面でシャープは有能だけど戦争の邪魔すんな、とちょっと冷ややかにみているかんじ。イメージ的に庶民的で明るいネルソンより、皮肉めいたウェリントンというかんじらしいですが。
 それにしてもシャープを見てからオーブリー&マチュリンを読むと、海軍はほのぼのアットホームだなあと思っちゃいますね。
 あと選ばれし者がシャープ好きすぎて見ていて笑ってしまう。かわいい奴らだ。

炎の英雄 シャープ DVD-BOX 1炎の英雄 シャープ DVD-BOX 1
(2006/02/24)
ショーン・ビーンブライアン・コックス

商品詳細を見る


● 最近読んだ本、どちらもおすすめです。
それでも、日本人は「戦争」を選んだそれでも、日本人は「戦争」を選んだ
(2009/07/29)
加藤陽子

商品詳細を見る

 近代政治史って意外と知らんもんだよね。すげーわかりやすい。

日本人の戦争―作家の日記を読む日本人の戦争―作家の日記を読む
(2009/07)
ドナルド キーン

商品詳細を見る
*CommentList

最上日記433「大坂城決戦……?」

あらすじ: 大坂城にこもった西軍は戦うのか?

テキスポ「大坂夢幻の陣(一)」
FC2 7の164-165

 こうしてみてくると、西軍の敗因って輝元>>>>>>>>>>>(越えられない壁)>>>秀秋>>>>三成くらいの気がする。恵瓊さんかわいそす。

P・オブライエン『囚人護送艦、流刑大陸へ』上下

>はくす。
 うわーやだ想像するだけでキモイ関羽……。

 時は1811年(〜12)、オーブリー艦長はレパード号に乗り込みある場所をめざす。任務はなんと囚人の護送。その中には美貌の女スパイ、ミセス・ウォーガンがいるから一悶着おきそう。というのも、彼女はマチュリンの恋するダイアナ・ビリャーズ瓜二つなのだ。美女が女っ気のない船にいるとなれば、海の男もそわそわ。この任務どうなる?

● 今回はマチュリン先生の比重が増えています。というより作品がすすむごとに増えているのか。冒頭、ちらっと影を見せたダイアナの身替わりともいうべき、ミセス・ウォーガン登場! そうはいえど軍医と囚人ですし、まあマチュリン先生ですし、じっくり観察して「ダイアナが虎なら彼女は豹(レパード)、背丈といいすべてスケールが小さい」とよくわからん評価を下します。その後もじっくりウォッチングしますけど。なんなんだよ、そのたとえはさ……。

 一方で今回は一難去ってまた一難で合計七難八苦とでも言いたいようなハードな旅。しかもおなじみフランス戦艦が邪魔ではなく病気、オランダ戦艦、海上障害物、たてつく副官、蔓延する性病とバラエティ豊かです(涙)。マチュリン先生必死の看護にジャックの土壇場の指揮といい、二人がいてこそこの物語だと困難を乗り越える度にウルウルしちゃうくらいの感動が。
 このシリーズを読んでいて、いろいろな危難がありましたが、後半の浸水してきたところは読んでいて血の気がうせそうでした。どうしてこんなに臨場感あるんだろう。

● 読んでいてほっとさせられるのがオーブリーの人柄。敵の戦艦が沈むところで唖然呆然とする人間くささ、頭の皮がべろりと剥けたときには「ネルソンと同じ怪我なら!」となんとなくうれしそうなところとか、マチュリン気分になってニヤニヤしてしまいます。天真爛漫なオーブリーときもちわるいマチュリンの対比がシリーズをよりよくしているなあ。

 それにしても船の上でハギス喰ってる……読んでいるだけでおえっとくるんだが。

囚人護送艦、流刑大陸へ〈上〉―英国海軍の雄ジャック・オーブリー (ハヤカワ文庫NV)囚人護送艦、流刑大陸へ〈上〉―英国海軍の雄ジャック・オーブリー (ハヤカワ文庫NV)
(2005/05)
パトリック オブライアン

商品詳細を見る


囚人護送艦、流刑大陸へ〈下〉―英国海軍の雄ジャック・オーブリー (ハヤカワ文庫NV)囚人護送艦、流刑大陸へ〈下〉―英国海軍の雄ジャック・オーブリー (ハヤカワ文庫NV)
(2005/05)
パトリック オブライアン

商品詳細を見る

最上日記432「島津&立花」

あらすじ: そして島津と立花は?

テキスポ「さまよえる敗将たち(四)」
FC2 7の161-163

 うお四千字こえてら。一日のキャパとしちゃギリギリ。限界ですだ。九州勢はこれで出番おしまい。

もうやだこんな関羽&うわあああ耽美!

>はくす。ゾンビものなら相性のいいタイプかも。探してみます!

 センナドーさんとドニー先生が関羽を演じると知ったときの反応。

「ああ、なんか処刑したくなる孫権の気持ちなんかわかる」
「ナルシストでわがままで高飛車ってまんま関羽だよな」
「それにつきまとう曹操は是非サイモンヤムでたのむ」
「うわーきめぇぇ」
「上半身裸で満面の笑みうかべて青龍刀ふりまわしてそうだ……」
「駄目だもう笑いが止まらないw」
「腹筋ひきつるー」

 言っておきますが、センナドーさんも私もドニー先生が好きで好きでたまらないのです。だってドニーさんだもの。


ドニー・イェン アクション・ブックドニー・イェン アクション・ブック
(2005/10)
ドニー イェン谷垣 健治

商品詳細を見る


● 染模様恩愛御書 細川の血達磨
 三月見に行きますよ〜。しかしこのチラシの耽美さと愛之助丈の美しさはなんなんだ! すごっ……。

 ちなみにBL歌舞伎ともされていたコレ。こんなノベライズもある。

紅蓮のくちづけ―染模様恩愛御書 (パレット文庫―スペシャル版)紅蓮のくちづけ―染模様恩愛御書 (パレット文庫―スペシャル版)
(2006/09)
深山 くのえ

商品詳細を見る


 通し狂言でストーリーもシンプルでわかりやすいので、歌舞伎初心者にうってつけの楽しい舞台です。オススメ。いやべつに腐った意味じゃないのよ。愛之助丈の小姓姿はかわゆすぎるぞ!!


● 最近読了した本。

源氏物語の構想と人物造型源氏物語の構想と人物造型
(2004/01)
中島 あや子

商品詳細を見る

最上日記431「三成捕縛」

あらすじ: 三成、ついに捕縛。

テキスポ「さまよえる敗将たち(三)」
FC2 7の159-160

 秀秋らが三成によってたかってギャアギャア言うのは創作ぽいし、両者ともにかっこわるいのでカット。
 そろそろ関ヶ原もおわりだなあとしみじみしつつ、まだまるっと長谷堂撤退が残っていることに気付いたのでした。

映画『パラノーマル・アクティビティ』は今年ワースト候補です

公式サイト

 怖い怖いというけど『ラブリーボーン』のほうがよほど怖い。『クローバーフィールド』があわなかったからにはやめておくべきだった。もうフェイクドキュメンタリーはやめておこう。『The 4th Kind』は回避したのになんてこったい。

 リメークできないのはできないというより、する意味がないからではないかと個人的には思いますが。ちゃんと予算かけて作るなら『スペル』くらい凝って練らないと駄目ですよねえ。低予算でビックリ仕掛けだからそれなりに話題になるんであって。B級グルメを高級食材で作っても無意味、というようなもの。

 主人公が馬鹿な行動をとらないとこの手のものは事態が悪化しないのも、モキュメンタリーホラーの欠点でしょうか。この映画は主人公の彼氏がともかく無神経で馬鹿でアホで事態を悪化させていて、本当に腹立たしくて仕方ありませんでした。ウイジャボードのくだりとか「**!」と思っていたらラストですっきり♪ 不愉快なカップルの日常観察から始まり、ドアしめろよとか、なんでそんな事態になってまでカメラを回すんだとか、そもそもなんで最初からあのアングルにカメラあるんだとかそういう突っ込みだらけの冷笑で終わる駄作です。

 見たことを忘れたいけど、たぶんすぐ忘れるだろうな。

最上日記430「こぼれる月光は我が涙」

>はくす。
 なるほど、真田ファンの方にまでそうおっしゃっていただいて書いてよかったとじわじわうれしくなってきました。義光主人公なら書く必要ないとか逃げなくてヨカッタ。
 家族っていうのは一人じゃなくて複数で、互いを思いやるからこそより素晴らしいのかなと思えました。すてきなメッセージ、ありがとうございます!

 ちょっとがんばって更新。
あらすじ:三成は山中をさまよい、大坂をめざしていた。

テキスポ「さまよえる敗将たち(二)」
FC2 7の158

 ここまでついてくる! という人がいることを見ても、三成が汚い嫌われ者じゃなかったろうと思います。清正あたりとは性格的にあわなかっただけでは。

テレビドラマ『炎の英雄シャープ』第四話「死闘の果て」+今月のナポ201001

>コメント
 ヘイクスウィルは本当にろくでもないですな。シマーソンもファージンデールも大嫌いだけど、コイツにくらべればかわいいもんだ。

 1813年、スペイン国境に近いポルトガル。クリスマス前ということもあり、ウェリントンは兵士に休息を与えており、フランス軍にも動きはない。ところが第三の勢力は活発に動いていた。その連中とは各国軍からの脱走兵の寄せ集めであり、やることといえば掠奪、誘拐、強姦。まさしく悪の組織であった。率いるのはなんとシャープの宿敵、ヘイクスウィル。彼らは英国軍のファージンデール大佐夫人、フランス軍のデュプルトン大佐夫人を身代金目当てで誘拐、英国側に対してシャープを交渉役に使命する。

● うわー、なんて奴だ、ヘイクスウィル! 軍隊時代より生き生きしているような気がします。
 で、また新たに来たファージンデール大佐もいつも通りの駄目貴族将校。なんでシャープがアンタの妻の命を握っているのにそんなに威張っているのやら。度重なるシャープの侮辱にテレサもむっとします。
 そんなシャープですがなんと摂政王太子ジョージじきじきに彼を支持する手紙が届きます。どういうことなんだ!? この王太子とはのちのジョージ四世で、素行不良の問題君主として結構有名な御方です、これはあとで何やらありそうです。ともあれシャープはなんとついに少佐まで出世。ハーパーは彼女がおめでたと、うれしいムードの「選ばれし者」です(これは翻訳としては「選抜隊」くらいでよかったんじゃなかろうかと思うんですけど)。
 むろんヘイクスウィルがあっさり人質を解放するわけなく、一旦交渉にこぎつけるものの「値段を倍額にする」とつっぱねてきます。今回のカネは貞操代としてもらっておくぜ、というわけ。シャープは大佐夫人と妙な雰囲気に、一方でイギリス人でありながらフランス軍人妻であるデュプルトン夫人は謎かけの言葉を残しますが……。
 シャープの報告からフランス軍が脱走兵掃討を名目に進軍すると知った上層部も、動きはじめます。悪巧みが得意なヘイクスウィルもついに自滅か?

● 本作の奇妙さっていったら、フランス軍より英国軍のほうがあくどく見えるところではないでしょうか。シャープの宿敵もフランス人より断然英国人です。今回でやっとフランス人で宿敵となりそうなデュコーが出てきましたが。フランス人のデュプルトンがかなりかっこいいし、このへんの感覚がイギリス人のしたたかさの元かな。「うちの軍が掠奪暴行なんてあり得ない! このドラマ製作者は反愛国的だ! 我らは常に正義ふじこふじこふじこ……」とか言う人はいないかいてもごく少数なんだろうな。濃厚なキスシーンやサービスシーン、女性の生々しい悲鳴、血みどろ戦闘もたっぷり、戦争を戦争として描いていますよ! すごいな、英国ドラマ。


 すごいといえば。映画『マスター・アンド・コマンダー』では、19世紀顔の役者を端役に至るまで選んだとスタッフが語っておりましたが、ドラマの今作もそうだと気付いたんですね〜。ショーン・ビーンの個性は軍服や甲冑が似合う時代劇顔であって、それが現代劇だと悪役ぽくなってしまうんじゃないかと(アラゴルンでアラトリステであるヴィゴ・モーテンセンにも言えるか)。男女ともにクラシカルイギリス、スペイン、フランス国らしい容貌の役者ばっかりなののがすごい。また愚痴になるけど、どこに媚びているんだかわからん茶髪ヅラを若手に被せる、日本や中国の時代劇はほんとうに勘弁して欲しい。中国の時代劇は、当時流行メイクをまんま使っているからおかしいのは70年代あたりからだからもう仕方ないけど……とりあえず某ドラマの気持ち悪い前髪ヅラやら横ぴょろりリボン姫ヅラは本当に吐き気もよおしましたよ、と。

 なんかもうあれだ。
 英国の歴史劇は歴史を描くために作っている。
 日本の歴史劇は視聴者に尻尾を振るために作っている。
 このくらいどでかい差があるわけですよ!

● 今回おもしろかったのが、ギリアン率いるロケット隊とウィリアム・フレデリクソン大尉のライフル部隊です。当時のロケットはロケット花火をでっかくしたような粗末なつくりで、軍服こそかっこいいものの、命中率は悪いわ、使うと煤だらけになるわでお荷物扱い。シャープにからかわれてもなんとか役立ちます! とむきになる生真面目そうな眼鏡っ漢ギリアン君がなんだかかわいいんですよね。でもこういう英国側の技術革新がナポレオン戦争の勝敗を決した部分でもあるのです。ナポレオンは天才ですが、技術革新にはうとく大砲は革命当時のままのものを使い続けていました。一方で敵側は戦術や兵器の改善にあたったため、だんだんとナポレオンも攻めあぐねるようになったのです。フランスもカルノーあたりが政権に残っていたらもっと強かっただろうにねえ。

 フレデリクソンは頭ははげ上がり馬の毛でつくったぼさぼさのかつらをかぶり、眼帯、総入れ歯というすごい容貌。当時の銃は前歯でカートリッジをきって射つから、歯を抜くのは徴兵忌避手段でもありました。つまり総入れ歯の狙撃手というのがいかに奇妙なのかわかろうものです。しかもあだ名はSweet William、総攻撃前は涎をたらしつつ入れ歯を外すというのがまたおもしろい!

 この一見冴えない部隊を用いて、シャープが素晴らしい戦術を披露します。十倍のフランス軍相手に、地の利と兵器を生かして戦うのです。今までは一兵士の延長上にある勇敢さと鼓舞を発揮していた彼ですが、司令官としての指揮能力も光らせた今作。見ていて戦術にうなり、「戦争」のおもしろさも堪能できた今回。シャープのみならずドラマの出来も右肩あがりで目が離せません。なんちゅうものを作るんだ、英国テレビ! 悲しい別離も経て、次回からはさてどうなるのか!

炎の英雄 シャープ DVD-BOX 1炎の英雄 シャープ DVD-BOX 1
(2006/02/24)
ショーン・ビーンブライアン・コックス

商品詳細を見る


● 今月のナポ。東方遠征も大詰めです。

・ポーラはやっぱりポーリーヌ(妹じゃないほう)なのね。妹と同じ名前だから変えたらしい。彼女は長谷川マジックで設定かわっておりまして、実際は長命です。このひととナポの間もいろいろゴタゴタあるんだけど、そのへん女がエア身バッサリ飛ばすのが本作のよいところ(マリア・ワレフスカとかも出番少なくていいよな)
・「まともなフランス語しゃべれ」クレベールキックかっこええ
・かわいそうなのは三千人の捕虜。武器弾薬勿体ないから銃剣で刺殺されたそうな
・ベルティエもかわいそうです。なまじ命を助けると言ってしまっただけに、相手から「ベルティエくたばれ、呪われよ」とさんざんに罵られたとか……悪いのはナポなのにー! ウージューヌも余計な張り切りだけどこれは結果論だし
・「恋人よ、きみの尻は素晴らしかった。今度は君が抱いてくれ」「ビクトルよくやった」「お前は尻の仇を討ったんだ」「俺の尻だあーッ」こんな悲惨なシーンでも笑わせる長谷川マジックひどいw
・そしてついに敵側最終兵器発動!
・兵士を使い捨てにする方針をナポがこのへんで反省すれば、のちの悲惨な失敗もなかったんだろうなぁ。いろんな意味で東方遠征は残念すぎる
・戦報でふれられたフェリポーとシドニー・スミスはこれから出てくるのかな? ちなみにフェリポーは一巻でちらっと顔を見せております

ナポレオン獅子の時代 1 (ヤングキングコミックス)ナポレオン獅子の時代 1 (ヤングキングコミックス)
(2003/10/24)
長谷川 哲也

商品詳細を見る

映画『ラブリーボーン』は孔明の罠

公式サイト

● かわいいストラップを前売り券につけて、「今年はこれで初泣き!」とか宣伝する配給は頭おかしいんじゃないのと思っていたけど、孔明の罠だったのかもしれません。だってこれ別の意味で泣けるんだもん。外道映画は慣れっこだぜドーンとカマーン! な私でも椅子の上で歯ぎしりしながら「ぐあー監督、何この鬼演出……」と思ってしまう生々しい怖さったら! 
 まあこれで『チェイサー』みたいに徹頭徹尾怖いんならいいんだ。ファンタジックでキラキラした女の子向けワールド、CGが綺麗でふわふわした世界と、変態殺人鬼の跳梁跋扈を同時進行でやるから食い合わせの悪さにうげげげっとなる。「こんなんでくじけちゃだめ! それでケッチャム映画なんてみられなくてよ!」って自分を鼓舞しながら見たけど。

 ともかくラストがいろいろ言いたくて。無駄にサスペンス風の演出でありゃなかんべよおめーよー。『マッハ弐』といいなんかイラっとくるラストだなあ。

 原作はもっと悲惨な展開のようです。宣伝を真に受けて悲惨な目にあうひといっぱいいそうだなあ。

ラブリー・ボーン (ヴィレッジブックス)ラブリー・ボーン (ヴィレッジブックス)
(2009/12/10)
アリス ・シーボルト

商品詳細を見る


ラブリーボーン (ピーター・ジャクソン 監督) [DVD]ラブリーボーン (ピーター・ジャクソン 監督) [DVD]
()
不明

商品詳細を見る

最上日記429「さまよって、とらわれて」

はくす。
>真田一族
 そう、真田一族はセットでおいしいと思います。あんまり二男さんばっか注目しないでくださいね、と言いたいんです。信之は弟と比べてツマランとかそういう書物を見るともにょっとします。

あらすじ: 敗将始末まとめてどどっと。

テキスポ「さまよえる敗将たち(一)」
FC2 7の156-157

 関ヶ原での敗将追跡は大坂ほど厳しくないですね。三成についてはまたあとで書きます。

テレビドラマ『炎の英雄シャープ』第3話「怒りの突撃」

 はくす。試しにショーン豆さんで画像検索かけたら美男子すぎてまいりました。しかも時代劇向きの顔してますね。シャープの役者はみんなそうだけど(このへんのこだわりが日本にゃないからな〜)。
 そういえばHBO実写版氷炎のエダード父さんがショーンさんだったんだなあ。ハマリ役じゃあないか!


 ぎゃあサムネが半裸イカ王子!

 時は1812年、イベリア半島戦争は泥沼の戦況にあった。ウェリントン将軍率いる英国軍は北のシウダーロドリゴ砦を攻略するも、シャープの理解者であるローフォード大佐がこの時負傷。もはや出世の望みがないと歎くシャープであった。
 ところがなんと思いがけない吉報もある。愛するテレサがシャープの娘にあたるアントニアを出産していたのだ。妻子のためにも出世せねばと張り切るシャープ。再会もつかのま、テレサはスパイとしてバダホースに潜入することになる。
 ローフォード大佐のかわりにサウスエセックスには新たな上官が派遣されてきた。その中にシャープはかつて己をはめた悪党オバダイア・ヘイクスウィルの姿を認める。暗躍するヘイクスウィルによってシャープのみならす、ハーパーや他の隊員にも魔手がのびる……。

● シャープの敵はむろんフランス軍ですが、イギリス軍の構造そのものとも戦うことになります。一話では反抗的な部下、二話ではスノッブ貴族将校、そして三話では腐りきった悪党。
 どんな組織にも腐りきった奴はいるものですが、それが軍隊内部だと最悪です。ヘイクスウィルは部下の妻をレイプし、窃盗は常習、しかもその濡れ衣を他人にきせる堕落しきった男。こいつの策略でライフル隊は穴掘りをさせられ、ライフルやグリーンジャケット(ライフル隊の軍服)まで没収され……うわーなんなんだこいつは!

 このヘイクスウィル、ある意味英国軍の恥部を象徴する男でもあります。
 本作のいいところというか英国的なところは、英国軍もフランス軍と同じくらい悪いんだよとしっかり素直に見せつけるところ。今回は特に顕著で、婦女暴行に掠奪を喜々として繰り広げ、防止策なんざまるで機能していないことが描かれます。当時の軍隊は薄給なうえ、補給もしっかり確保していない現地調達しろよ状態だったから仕方ないとはいえ、戦争っておぞましいですね。
 災難なのはスペインの人々で、フランス軍に蹂躙され、英国人にもボコボコのズタズタにされ……怒りの矛先がゲリラという復讐にかわり、地獄絵図は加速していきます。正規軍はとっとと倒したけどゲリラに粘られて被害拡大、というイラク戦争まで繰り返される図式の元祖は、ここにありと言えるか。
 妻子の待つ街を攻略するシャープが、怪我や危険をもものともせず中へ突入したがるのは、敵ではなく味方の暴行をそれてのことです。それを知らしめるためにも、英国軍の暴虐も描く必要がある。とことん見せてくれるぜ、英国ドラマ!
 ……まあジェントルマンしかいない英国軍とか描いたら、スペインのひとびとはキレるかもだが。こういう自国の歴史をクールに見るところが英国人のしたたかさの源じゃないかと思う次第で。

 そういう小難しいこと抜きにしても秀逸な回です。いい意味で何度も期待を裏切られます。すごいドラマだ!

炎の英雄 シャープ DVD-BOX 1炎の英雄 シャープ DVD-BOX 1
(2006/02/24)
ショーン・ビーンブライアン・コックス

商品詳細を見る

最上日記428「さらば真田一族」

あらすじ: 今日で真田さんちの出番はすべて終わり。クランクアップです。

テキスポ「真田始末(二)」
FC2 7の154-155

 ふはー、やっと真田さんちの出番が終わりました。人気あるだけに書いていて不安もあったけど、ほっとしたなあ。自分の好みもあってか、おにいさん贔屓になっているかな。チョイ疲れました。
 これから三成はじめみんな退場ラッシュなんだな。さみしいな〜。

テレビドラマ『炎の英雄シャープ』第2話「イーグルを追え」

 はくしゅ。
>英国海軍料理
 胃袋がトラファルガーになるわけですね、わかります。メニューを読んでいるだけで嫌な予感します。

>ハギス
 う、まいハギス……マーマイトも慣れるとおいしいという記事を読んで沈黙せざるをえなかったんですが。ちょっくらチャレンジしたいです。

 1809年イベリア半島戦争、英仏はついに決戦の火ぶたが切られた! 娼婦の私生児出身であるリチャード・シャープ中尉は野心と使命感に燃えて命令を待つ身だ。そこへウェーズリー将軍の参謀・ホーガン少佐からある任務を依頼される。成功すれば大尉に出世でき、かつ恋人テレサにも出逢える願ってもない役割だ。ところがそこへとんでもないスノッブ上官がつけられてしまったから災難だ……。

● さて、シャープの敵は彼自身の身分にあります。貴族ではない平民出身者は尉官まで出世できないものですが、シャープはひょんなことからそれをやってのけてしまった。そこからが苦労しますよ、という話。軍隊内でのシンデレラボーイは辛いよ、トホホ編とでも言いましょうか。
 シャープは平民出身、犯罪歴あり、読み書きもろくにできなかったうえ、私生児=Bastardと不利な条件が揃っています。昔読んだ英国ミステリでも、二十世紀が舞台なのに主人公が婚外子というだけでえらい差別をうけるのですが、まして当時ときたら大変でしょう。

 と、ここへ登場するのがイジメ担当者シマーソン一味。貴族出身のスノッブ丸出し無能将校です。脳みそふっとばしたらと罵られるほど無謀で、やることなすことバカ丸出しですが、こんな腐った奴でも貴族というだけで出世できちゃうんだよなあ! こういう俗物はシャープの存在そのものが目障りだとばかりに嫌がらせを開始。一方でシャープは黙々と「なら実力で見返すまでだ!」と教練でえらくがんばったり、掠奪を諫めたりと、正論で反撃するのですが、負けん気の強さとあまりの正々堂々とした態度おせいか、かえって相手の神経を逆撫でしてしまうのでした。物語の英雄としては素晴らしい性質ではありますが、実際いたら苦労しそうなタイプです。まあこれから劇中でも苦労するんだろうけどね……。

 シマーソンの無能さを強調する演出として、鞭打ち体罰があります。当時の軍隊内ではありふれた罰則ですが、このころからその効果について疑問視する声があがりはじめ、体罰に頼る将校というのは無能、むしろ避ける将校は有能かつ温情ありという描き方がなされることが多いようです(ネルソン提督、オーブリーも体罰嫌い)。シマーソンは言うまでもなく喜々として鞭打ちをしておりますが……。
 案の定シマーソンのバカのせいで作戦途中で大失敗、タイトルにもなった「皇帝の鷲」軍旗奪還作戦を行う羽目になるのでした。

● 前回から続くテレサとのロマンス等もぬかりなく盛り込みつつ、イーグル奪還よりもシマーソンを出し抜け!と言ってもいいような中身です。正直フランス軍よりもシマーソンのほうが腹立たしいですからねえ。無能丸出しで戦場を我が者顔で馬にまたがり駆け巡り、シャープたちをバカにして雑用やらせ、いざとなったら真っ先に逃げ出し、しまいには女を殴り、シャープにまであんなことやこんなことをしてくる。

 でも奴らも甘い。
「あ、死にましたね」
「よし、フランス軍の後方に置こう。名誉の戦死だ」

 わーっ!
教訓: 戦場では命が軽いというのは、相手もそう思っているということです。くだらんことで命をかけるのはやめよう。

 あーいーんだよ、こういうのがいいんだ。本作の魅力はこういうシャープはじめとする、英軍のひそかな黒さですね。流石英国。主人公を綺麗なままにしないところがたまらなく魅力的です。

 それにしてもショーン・ビーンはハマリ役。ワイルドで紳士的なところもありかつ凶暴、そんなシャープにぴったりです。胸元はだけた軍服セクシー!

 そういえばシマーソン三馬鹿一味にジェームズ・ボンドさんがいましたね。

炎の英雄 シャープ DVD-BOX 1炎の英雄 シャープ DVD-BOX 1
(2006/02/24)
ショーン・ビーンブライアン・コックス

商品詳細を見る
*CommentList

最上日記427「お稲さんの夫と父」

あらすじ: 信幸にいさんと忠勝とうさんの助命嘆願です。

テキスポ「真田始末(一)」
FC2 7の153

 うちはにいさん重視でいきます。にいさんは書いていて楽しくて好きです。忠勝とうさんも好きだし小松さんも好きだな。

映画『副王家の一族』

>テリー・ギリアム
 消化不良は完全脱出! といえる傑作です。しかも映画館でみてこそなのでお急ぎあれ。

>奥さん
 何人でしたっけ。時系列バラバラだし結婚時期とかイマイチわかりませんよね。判事が結構モテることはわかったんですが。

>牛肉地獄
 もうやだ英国料理。揚げマーズバーという記事を見たときは読んでいるだけで胃が痛くなってきました。それ料理じゃない!

フランス大統領「イギリス人みたいに不味い飯食べている連中なんて信じられませんよねーw」
英国新聞「ふざけるなフランス人! 調子こいてんじゃねえぞ!」
英国閣僚「ですよねーw ハギスとかもうありえないしw」
英国人「…………まあハギスはなあ……」
スコットランド人「(涙目)」

 というやりとりにも爆笑。
 で、船乗りメシちょっと中身見ましたが、しょっぱなから「フランス野郎の最期」みたいな朝食メニューがあったんですが一体何を食べているんだ英国海軍人! とかなり戦慄しました。おもしろそうだけど料理する勇気はないかも。見ているだけでおもしろそうですけどね、ありがとうございます。
 例のサントラもローストビーフはもういいよw と思いました。そんなに牛肉好きなのかおまえら。

公式サイト

● 世界史を習っていくと、イタリアはルネサンスあたりから文化史だけになって、いきなりふっとんでガリバルディ、赤シャツ隊、ムッソリーニになります。その間は細かく分裂していてよくわからん! とりあえず英仏でいいだろ、どうせ赤シャツくらいしかセンターには出ないだろう……ということに。

 そんなワープされるイタリア史劇のうえ、歴史小説原作だけにおそらくもっと複雑なんだろうな、なんだかカットされているなあという印象はあります(ただし同じ歴史小説シリーズを映画化した『アラトリステ』にくらべたら全然マシ)。こういうヨーロッパ歴史劇ではよくあることですが、話としては消化不良だろうと見に行ってしまうのは、重厚! 豪華! 壮麗! と眼福にだからなのです。今作もうっとりする衣装と主演俳優の容貌、演技力が実に目にやさしい。

 以下愚痴。中国の歴史劇も変な日本のゲームぽい影響とかキンキラキンだとか、『英雄』の影響から脱却してこういう豪華なものにしてくれよと最近痛烈に思います。日本は……日本はもう……なんというかもう……『SHINOBI』と『PROMISE』はイラストレーターのデザインを衣装にまんまいかすととんでもないことになるということを我々に見せつけてくれました。昔の時代劇はもっとマシにできていたのが、今技術が発展したのに何・故・で・き・な・い!
 あと役者の顔ですね。その時代にあった容貌を脇役まで選んだというこだわりは無理だろうけど、ヘアメイクくらいは時代にあわせようよ。男は和装のときにタオルで肩とか腰に補正しようよ、腰の位置おとそうよ。お歯黒にして眉おとせとは言わないんだ、リップグロスと茶髪とマスカラとかはやめよう。これはハリウッドでもてろんてろんメイクとデトックス重視で危ないんだけれども、ヨーロッパの女優さんはうっすらそばかすや鴉の足跡が見える薄化粧で好感がもてます。

● まあ愚痴が長いけど、要するに本作はイタリア史劇としてコレが見たい! という部分はおさえた作りなんです。イタリア統一前夜から協和主義思想への移行、保守的な父と進歩的な息子の葛藤、あらわになる人間のえげつなさ。
 だがしかし、どうにもイタリア人は根っから暗くて陰湿悪辣ではないのだなと見ていて感じました。主人公は貴族の家に生まれたしがらみを抜け出すわけですが、さしたる痛撃をも敵には与えず、最低限のリスクで世渡りをしたといえるお話です。これが+++国民とか****国民だったらもっとそれはもう凄まじい話になっていたんではないかと思います。
 あまり知らないイタリア統一前夜を質の高い映像と演技で見られて全体的には満足。ただしえげつないイタリア人の確執という点ならばボルジアやゴッドファーザーのほうがえぐいでしょう。原作を知らないとなんとも言えないけど。

副王家の一族 (2007年作品/2009年日本公開) I Vicere (The Viceroys) [Import CD from Italy]副王家の一族 (2007年作品/2009年日本公開) I Vicere (The Viceroys) [Import CD from Italy]
(2007/11/10)
Paolo Buonvino

商品詳細を見る

最上日記426「王道」

 おしらせ:うっかりミスっていた佐和山城落城をこちらに追記しました。
テキスポ「勝敗(二)」
 佐和山は炎上説もあるけど、私は三成がすべて関ヶ原に投入していて抵抗できなかった説をとりました。

あらすじ: さて家康の王道とは!?
テキスポ「不敗の法則(二)」
FC2 7の151-152

 コメントでも怒られた(そらそうだ)家康ですが、このあたりずっと家康ベタ褒めになるので申し訳ありません。天下を取るより保つほうが難しい、家康は天下最強ォォォォ!説が展開されます。こういう老練な政治力こそ家康の高評価のもとだと思うんだけど、日本人には好かれないんだよねえ。
 人生は重き荷なんてことばからやけにお堅いイメージがあるけど、そういうのを意図的に崩したいといいますか。カッコイイけど腹黒いそんな家康さんにしたいかなあ。でもファンの方には申し訳ないかもしれません(汗)。
 家康の師匠が太原雪斎かまではハッキリしないらしいのですが、出してもいいかなあと思ったのでとりました。しかしそのなんだ、「別におれたちゃおめえらの小説のネタになるため戦ったんじゃねーぞ」という台詞は小説を書いている自分にとって妙な気分になった台詞です。
 
 さあ次回からは真田にーちゃんのターンだ。


 どうでもいいけど、「妹の小袖を着て男の娘になった白寿丸が、氏家父子に殴り倒される」というネタを考えたけど、だからなんだといいますか。

映画『Dr.パルナサスの鏡』は毒入り美食

はくす。おなごのヌードは「こやつめわはは!」なんですが、カラヴァッジオの美少年がかろうじて股間を隠して、あやしい唇と瞳で微笑む宗教画はなんかヤバイもんみちゃったよな(汗)という気分になって、精神衛生に打撃をあたえてきます。絶対クライアントの依頼はアッー!

 そういえば海軍ソング買いました。うわーイングランドッ! ナイスBGMです。

公式サイト

● あらすじの説明、断念。なんかロンドンで鏡があって、無茶苦茶底意地の悪い話が展開します。
 ヒース・レジャーがらみの友情エピソードがありますが、そんなヒースの役が劇中アレでソレでエンディングでは放置されるあたり、ギリアム監督には惚れざるをえません。この紳士の国から来た鬼畜め!
 テリー・ギリアムはあわないときはともかく駄目で、『ローズ・イン・タイドランド』は見た後トラウマになりかけたほど。なんでか自分でもよくわからないけど、思い出すのもしんどい映画でした。

 で今作ですが、おもしろい。まずビジュアルイメージにものすごいこだわりがあって、CGを駆使した幻想世界だけでなく、衣装やセットもおもしろい。ヒロインであるリリー・コールのいかにもモデルらしい人形顔に、不思議な衣装がよく似合っています。映画館で映画を観る醍醐味とはこういうことだと満足感があふれてきます。
 しかし万人受けしそうなうっとりした世界にのっかっているのが、毒気たっぷりの幻想話。
 ファンタジーといえば夢がかなう美しい世界というのは真っ赤っかな嘘で、これでもかといわんばかりに人間性の薄っぺらさや汚らしさをグリグリとえぐり出します。毒気だけではなく、メインとサブプロットだけで数種類あってからむので、頭がしゃっきりしていないと追いにくい(博士の過去、博士と悪魔のゲーム、トニーの過去、さらに鏡の仕組み)。

 さらにこれが決定打。要するにこれは悪魔のいやがらせによるお話であり、それとなく綺麗にまとめているけど、
根本的な解決な実のところ何もされていないし、教訓なんて何もないんですよね。めぐりめぐって最後に開けた箱の中身はからっぽ、ただし箱そのものは大変美しい。そういう作品。
 
 いや、これはでもけなしじゃない。
 そういう大仕掛けの悪戯、悪意と嫌味に満ちた嘲笑、官能的な毒気、そういうのが監督の作家性でしょうから。それをケラケラ笑って一緒に楽しむ、そういうのも映画の一様式美です。しかも極上の役者と演出で料理してあるのですから、不味いということはない。とことんこの悪意を笑いとばしつつ、味わったほうが勝ちなんですよ。うわーそれにしてもこの英国人は根性悪いよなあ。とことん邪悪な英国流世界だわ(褒め言葉です)。
 私は堪能しました。いいね、こういうの大好きだ。エンドロールのおちょくりっぷりなんか最高!

オリジナル・サウンドトラック『Dr.パルナサスの鏡』オリジナル・サウンドトラック『Dr.パルナサスの鏡』
(2010/02/11)
ジェフ&マイケル・ダナ(音楽)

商品詳細を見る

最上日記425"Noblesse oblige"

ちなみに父子対面の日時をしれっとミスったのであとで調整します。

あらすじ: 遅参にすっかり縮こまる秀忠。

テキスポ「不敗の法則(一)」
FC2 7の150

 ノブリス・オブリージュという概念があります。詳しくはググって。
 最近はナポレオン戦争記のドラマや本を読んでいてこれについて考えております。そうすると貴族が将校になる不条理も意味はあるんだとわかる。貴族が人民のうえに立ってふんぞり返っていられるのは、有事の際に戦うというハイリスクな責務があるから、ということなんですな。特権は戦うことに根ざしているわけで、平民が将校になったらそりゃ困るわけだ。
 身分制度なぞない現代アメリカ、ヨーロッパでもこのノブリス・オブリージュはあるようだ。たとえば大災害のときにビル・ゲイツとかシューマッハが多額の寄附をしたり、セレブや大企業がチャリティに熱心なのは「うちらは金儲けしてす、しかもちゃんと社会に還元しますで」というのがあちらの流儀みたい。なんでも欧米にならえとは思わないけど、こういう流れは日本でもあるといいですね。

 それが今回何と関係あるんだ、ってことなんだけど。
 天下人と民だってギブアンドテーク、秀吉と家康の差はここででてきちゃったと思うんですよ。あとで家康にも作中で言わせようとあたためているんだけども、秀吉が織田の天下を簒奪したことは罪に数えるもんでなかろうと。ただし、戦乱で疲弊しきった民が泰平をのぞんでいたにも関わらず、外国にまで攻め入ったのは悪以外の何者でもない。天下人になるということは、天下に責任をもってよりよい時代を作る責務があるわけだ。それを放擲して己の利己のために戦ったのは何でかと。
 秀吉に恩義ありながら何故裏切ったのか、秀吉のおかげで引き立てられた者もいるのに、への反論はこうです。秀吉だって彼ら支えてくれた人に感謝するべきだった。だって互いに協力しあってのぼりつめた地位なのだから。

 こういうことを次から次へと思いつくのは、やっぱりナポ時代と並行して勉強しているからかも。
 秀吉とナポレオンは共通点が結構多いと思うんですよね。
*CommentList

左サイドMenu

FC2ブログをはじめよう

人気投票してみます

最近の記事

Ads by Google

Powered By FC2ブログ

ブログ内検索

Amazon

筆者近況

吉梨(きつり)

Author:吉梨(きつり)
今年の冬はこたつといっしょ。

右サイドメニュー